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CEATEC JAPAN 2009 at. 幕張メッセ 2009年10月6日(火)⇒10月10日(土)
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Vol.069

木村太郎の視点(その6)

米国メディアパネルイノベーションアワード受賞製品を見ての感想

   こどもの時に、将来なりたい職業が三つあった。ひとつは「飛行 機のパイロット」次は「オーケストラの指揮者」そして「新聞記者」だ。
 この内「パイロット」は数学が不得意なので早々に諦めた。次に「指揮者」めざしてピアノのレッスンに励んだが、これもバイエルからチェルニーに移るあたりで挫折し、結局あまり根をつめて勉強する必要がなかった「記者」に落ち着いたわけだが、未だにピアノのレッスンを敵前逃亡したことを悔いている。人前で一曲披露できたらどんなに得意かと考えるからだ。
 というわけで、CEATEC恒例の「米国メディアパネル イノベーション アワード」の内、「デジタルコンテンツ/ソフトウェア部門賞」を獲得した「フィンガー・ピアノ・シェア」に注目し「ものは試し」とさっそくiPhoneにインストールしてみた。
 モニター上の鍵盤を叩くと音が出るというのはごく初期のアプリケーションにもあったが、これは叩くキィの色が変わって教えてくれるのだ。とりあえず「初級」という表示のあった「崖の上のポニョ」を試してみる。青色に変わったキィを叩くとあのメロディがちゃんと響くではないか。これに慣れたら次に「楽譜アニメーショ ン」を「オン」にするとテンポを合わせて弾くこともできるようになるという仕掛けだ。
 「右手」と「左手」のバージョンがあるので、二台のiPhoneなりiPod Touchを使えば両手の演奏もできることになる。さらにさらに、このアプリケーションのホームページに入ると「作曲」のページがあり、モニター上の鍵盤を叩いて作曲したものをiPhoneに送ることができる他、MIDIファイルも転送することができる。
 この他、iPhoneを電子ピアノにつないで演奏させたり、逆に電子ピアノの演奏をiPhoneに取り込むことも出来るらしいが、手元にその電子ピアノがないので試すことができなかった。
 とにかくiPhoneとネットワークとウェブを組み合わせていろいろな可能性を探ったもので、それが評価されての受賞になったのだと思うが、審査に当たった米国のジャーナリストたちも相当面白がってこのアプリケーションで遊んだのではなかろうか。
 なんでもこのアプリケーション自体が、開発者の趣味で作られたものだと聞いたが、こういうソフトにはそうした「遊び心」がこめられていることが必須条件のように思う。
   
   今年の「アワード」には、日本のエレクトロニクス業界の「底力」を示すようなものが選ばれたというような印象がある。「グランプリ」と「携帯電話/携帯情報機器部門賞」を獲得したメモリー 液晶搭載携帯電話Mirumo(シャープ)は携帯電話の技術的レベルを一次元引き上げるようなものだし「グリーンIT特別賞」の液晶ディスプレイの各種省エネ技術(日立)や「ホームエンターテインメント部門賞」のCell Regza(東芝)「技術部品部門賞」の色素増感型太陽電池セル(TDK)はエンジニアリングの勝利のような技術だ。さらに「コンピュータ/ネットワーク部門賞」の二画面PC Mebius PC-NJ70A(シャープ)や「デジタル映像部門賞」のサイバーショットWXIのスイング・パノラマ機構(SONY)もアイデアと技術力の結実と言える。
 米国のジャーナリストたちが日本のエレクトロニクス製品に期待するものが、そうした他の追随を許さない技術であるように思え、その意味で今回のCEATECは彼らの期待を裏切るようなことがなかったということが「アワード」の選考から見えるように思えた。
 その中で「フィンガー・ピアノ・シェア」だけは、彼らの期待を越えて「楽しさ」も与えたとすれば、日本のエレクトロニクス業界に彼らが期待するものも少し変わるのかもしれないなどと考えてみた。
 次回はどんな新技術が披露されるのか、また米国のジャーナリスト達が何に驚くのか楽しみだ。

木村太郎

   フリーランス・ジャーナリスト。
 1938年、合衆国カリフォルニア州バークレイ市生まれ。41年、日米関係悪化とともに帰国。64年、慶応義塾大学法学部卒業、NHKに入社。記者として神戸放送局、報道局社会部に勤務する。74年からベイルート、ジュネーブ、ワシントンの特派員を歴任。82年2月に帰国し、「ニュースセンター9時」のキャスターを6年間務める。88年、「ニュースセンター9時」終了とともにNHKを退社、木村太郎事務所を開設しフリーランス記者として新しいスタートを切る。90年からFNN「ニュースCOM」でキャスターを、94年からFNN「ニュースJAPAN」、2000年からFNN「スーパーニュース」でニュース・アナリストを務める。86年「第12回放送文化基金賞」受賞、88年には、国際報道を通じ、国際理解に貢献したジャーナリストに与えられる「1987 年ボーン上田記念国際記者賞」を受賞。

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