ラップトップやPC、インターネットTV、ゲーム機、Blu-rayプレーヤーといった各種デバイスを使ってデジタルコンテンツを楽しんでいる家庭が増え続けていることが、より高速の固定ブロードバンド接続率の伸びにつながっている。また、Wi-Fiに接続可能なタブレットやスマートフォンも固定ブロードバンド市場に少なからず影響を及ぼしていると言えよう。政府の投資により、ブロードバンドの接続率及び回線速度は全世界的に伸び続けている。特に新興国での成長率には目を見張るものがある。
家庭でのブロードバンド接続数においては、アジア太平洋諸国の接続数がその大半を占め、市場をリードする中国では、2011年末に1億5千万の加入件数が見込まれている。一方、インドでの普及は大変遅いペースである。これはインド政府が3Gモバイルネットワークの競売に力を注いでいるからで、インドにおける現在の普及率はおよそ6%と大変低く、市場に何らかの影響を及ぼすとは考え難い数字である。長期的に見ても固定ブロードバンドの普及は不透明な状況にあると言えよう。Futuresource Consultingは、インドの2015年末の普及率を12%と予測している。しかしながら、インドでは、モバイルインターターネットは強い伸びを見せており、今後もこの傾向が続くと思われる。
西ヨーロッパでは、殆どの国の普及率が極限に近づいてきており、70%~90%といった状況である。2011年のドイツ、イタリア、スペインの成長率は最高レベルの伸びになると見込まれているが、その伸び率自体は数パーセントに留まる。北アメリカでも多くの家庭で接続されており、アメリカでは70%強、カナダでは80%程度の普及率である。
ブロードバンドの回線速度では、韓国と日本が市場をリードしており、平均ダウンロード速度は約32Mb/s。2010年末には30Mb/sを誇っていた。2000年に入ってからの政府とサービスプロバイダーによる投資がこの業績を築き上げる引き金となった。ヨーロッパでは、オランダが最高速で10Mb/s。ベルギー、フランス、スウェーデンがその後に続く。アメリカでは昨年の平均速度が5Mb/sで、英国に続く。
今後、先進国においては、回線の速度がインターネット サービス プロバイダーの市場競争を激化させる要因となり、ファイバー オプティック技術に基づくインターネット通信への投資が各国政府の主要課題となるでろう。