2021年2月1日 – Futuresource Consulting によるとヒアラブル市場は、2019年から2020年にかけ、対前年比60%という急速な成長を続けている。COVID-19による使用事例は、この成長をさらに後押しし2024年には710億ドル市場となると予想される。
Futuresource Consultingのアナリスト、Luke Pearceによると、「メディアによる報道は、ヒアラブル機器の基本的な使用事例にとどまっていますが、パンデミックが一つの理由となって、コミュニケーションの重要性も増大しています。」ラップトップやタブレットとの互換性、およびアクティブ ノイズキャンセリング(ANC)機能装置は、こうした使用事例を実現する、ヒアラブル機器の必須機能となっています。」
2020年は補聴器業界にとって大きな打撃の一年となったが、チャンスはまだ続く
まったく対照的であるが、2020年は補聴器市場にとっては厳しい一年となった。COVID-19による制約から、従来の聴覚機能訓練士のところへ足を運ぶことを、利用者が後回しとしたためで、補聴器市場は17%の減少という結果となった。
しかし、2021年は、(今年後半に概要が発表となる)米国のOTC Hearing Aid Regulationが実施され、新たな部門が創出されることで、補聴器業界にとっては興味深い一年となる可能性がある。米国では、聴覚機能訓練士の支援を必要としない、そして認定を受けた聴覚障害の専門家であれば誰でも解除し、調整可能な製品に対し、OTC則に基づき医学的な認定が必要となることが予想される。
規則は、医学的な認定を厳しく要求するため、CEベンダーが、聴覚矯正機能を備える、文字通りの無線製品を手にOTC市場に参入することを手放しに許可するものではない、とFuturesource Consultingは考えている。新たに投資を受けたスタートアップ、そして従来の補聴器ベンダー双方がこの部門に製品を投入し、両者とも利用者に訴求しながら、既存の高水準な聴覚医療事業および聴覚訓練手段を損なうことのない、新たなブランドを活用する可能性が高い。
「OTC 聴覚機器の一般向けの使用許可が、FDA のような規制機関から下りた際には、中程度の難聴者や聴力損失のある高齢者の多くが、聴覚専用機器にかかる費用とその利便性という理由から、まず OTC 機器を選択するでしょう」、と Pearce は加えた。
ヒアラブルにおける会話の促進
ヒアラブル機器ベンダーはますます、会話を促す機能を持たせることで、目的とする使用事例を多様化し、対象とする利用者層を拡大し、製品の差別化を図っている。
こうしたヒアラブル機器は、確かに聴力を一定水準援助するものの、補聴器、OTC その他の分野に侵入する、とは Futuresource は考えていない。しかし、ヒアラブル機器は、軽度から中程度の難聴のある人にとっては、何らかの場面では手助けとなるし、これまでこうした問題に気が付いていなかった人にとっては、難聴に気がつくきっかけが増えることだろう。ヒアラブル機器の 10% 程度が 2024 年までにこうした機能を備えることとなる、とFuturesource は予想しており、2021 年には、より多くの製品が市場に流通することとなるだろう。
必然的に、ヒアラブル機器の性能は、補聴器のそれと同等となるであろうし、分野によってはそれを凌ぐ可能性すらある。聴力矯正を必要とする利用者は、補聴器に、ヒアラブル機器で使われるものと同じ技術が盛り込まれることを期待するだろう。
製品に向けたさらなる技術
ANC に加え、会話の促進、発声の支援、そして健康およびウェルネスに焦点を当てた機能は、さらに、そしてすぐにスマート ヒアラブル機器に盛り込まれることだろう。
「現在、健康とフィットネスに関しては、ヒアラブル機器の使用事例は、基本的には運動を指示するにとどまっています。しかし、COVID-19 のパンデミックにより、生体認証センサーが消費市場向けに実装される可能性が一段と高まり、技術と健康を一体化をさらに進める必要性が明らかとなっています」、と Pearce は述べる。「しかし、長時間着用するといった重要な保護機能、手首に巻くウェアラブル機器のような競争力のある機器、そして生体認証データから意味のある知見を引き出すソフトウェア基盤は、依然としてここにあるのです。」