Futuresource Consultingが新たに発行したマーケットプロファイル報告書によれば、医療系ビデオ会議市場の価値は2020年から2025年の間に2倍に膨れ上がろうとしている。同調査専門会社は、この成長の背後に、テクノロジーを主な成長要因として活用しようとしている医療機関の姿があるという。
「医療業界はコストを引き下げつつより多くの人々によりよいケアを提供できる新しいサービスモデルを模索している」とFuturesource Consultingのコラボレーション部門責任者アリステア・ジョンストン氏はいう。「新型コロナウイルス感染症の流行以前ですら、医療システムには多くの負荷がかかっていた。人口の高齢化によるコストの増大、慢性疾患発生率の増加、世界的な医療従事者不足などに直面していた。現在はコラボレーション技術が人々の生活に浸透し、その価値が証明され、多くの医療分野で急成長の素地が整っている」
使用事例は豊富だが、規制の違いが壁
遠隔医療、臨床医師間のコラボレーション、非臨床スタッフ間のコミュニケーションの質的な向上など、ビデオの使用事例は多岐にわたる。その一方で、複雑で規制の厳しい市場では、地域によって要件が異なるうえ、国内でも規制にばらつきがある。米国のような地方分権国家では州ごとに要件が異なる可能性があるが、英国のNHSなどのシステムでは規制に比較的統一感がある。
多様な製品カテゴリーの中でコラボレーションバーは最も成長が著しく、2020年から2025年までのCAGRが41%となるとFuturesourceは予測している。その最大の理由は、医療機関の管理部門がコミュニケーションバーを採用するからだ。
北米主導、後を追うAPAC
「世界全体を見渡すと、北米が普及を牽引している」とジョンストン氏はいう。「高額な医療費とビデオ統合への意欲が市場を牽引しており、新しい医療サービスモデルの確立に対する抵抗が比較的小さい」
「EMEAでは、より広範なビデオ拡大の動向にしたがって、医療分野でもビデオが活用されている。特に北欧、オランダ、英国、次いでフランスでの普及率が大きい。この差は予算より文化的な要因によるものだ。たとえば南欧ではリモートワークが少なく、医療システムが主として国全体ではなく地域ごとに運営されている。APACでは、ビデオ投資がオーストラリア、日本、韓国といった先進国に偏っており、成長率は比較的小さいと予測している」