Futuresource Consultingの新たな調査によると、フロントプロジェクション市場は2026年までに45億ドル規模に達すると見込まれている。この数字は業界全体における高輝度、高解像度、そしてこれらの高輝度カテゴリーに分類される上で欠かせない技術であるSSL(レーザー光源)へのシフト傾向によって上方修正される。
周知の通り、当業界は近年コンポーネント供給上の問題のために流動的な状況にあった。こうした制約はパンデミックによってさらに悪化し、ほぼ全種類のコンポーネントが影響を受けたが、中でも半導体業界は最大の打撃を被った。
不安定なサプライチェーンにより、各国は国内生産の方へ投資しようと試みている。欧州委員会が制定した欧州半導体法は、半導体産業のエコシステムに430億ユーロの投資を行うことを目標としている。この果敢な計画が功を奏せば、2030年までに欧州の半導体の世界市場におけるシェアは9%から20%へと倍増するはずだ。
Futuresourceの調査プログラムによると、最も中核的なAV製品類はパンデミック前のレベルに戻りつつあるという。にもかかわらず、ベンダーらは一時的に思い切って前へ進むのが関の山の状況だ。相変わらずのサプライチェーンの混乱と世界的な不安定状況が人々の心に重くのしかかっている。
大型会場とインスタレーションが光る
世の中は明らかにリスクを避け慎重になっている気配だが、大型会場とインスタレーションに使われるプロジェクターについては幾分上向き傾向にある。エリザベス女王2世の喪中に見られたような大型アートのインスタレーションの成功によって、この傾向に拍車がかかった。
チップ不足と在庫の制約により、フロントプロジェクション業界では高利益率の製品を優先させる傾向が強まっている。こうした外部から影響が同業界に爪痕を残しており、インスタレーションや大型会場は2022年第2四半期に数量増を見た唯一の部門となっている。現在5%の市場シェアを保っているこの部門は、かなり翳りを落としているフロントプロジェクション市場の四半期における希望の光となっている。
家庭用プロジェクター市場が堅実路線を継続
家庭用プロジェクターの市場はパンデミック期間中もずっと安定していた。多くの人にとって、家庭 ベースの娯楽しか他に楽しめるものがない状況が続いたからだ。2022年上半期には中国全体で ロックダウンがしかれたため、家庭用プロジェクターの需要が増大したが、この傾向は2022年第4四半期に開催されるワールドカップや2024年のオリンピック開催期間中も継続すると思われる。2022年には65万台の売り上げが見込まれ、数値的にパンデミック前のレベルに限りなく近づくことになる。
大型会議室の根強い人気を投影
業界は今なおパンデミックの後遺症を感じてはいるが、これは本質的に悪いことではない。大型会議室は、ソーシャルディスタンスを取りながら他者とコラボする上で都合が良く、2部屋の壁を取り除いて一つの部屋にすることによってオフィス経費を削減させることができるため、今も人気を保っている。プロジェクション(投影)はこうしたスペースを活用する上で明らかに極めて有効なツールだ。Corporate Displayは2026年まで年間200万台弱の生産数を見込んでいる。
販売経路からのフィードバックによれば、その柔軟性により、これらのソリューションが少人数のミーティングを行うオフィス環境で利用されている。大型フォーマットのディスプレイを使うことでソーシャルディスタンスの確保が可能となるからだ。それらの低ASPのおかげで、こうしたソリューションは企業にとって堅実なオプションとなりつつある。