Futuresource Consultingのゲームトレンドマーケットレポートによると、消費者のゲームソフトへの支出は増え続けており、2018年にモバイル、PC、ゲーム機を含めて世界で1320億ドルに達した。
「収益の着実な伸びの裏で、ゲーム市場の状況は変化し続けています」とFuturesource Consultingのマーケットアナリスト、James Manning Smithは言う。「我々はさまざまな要素が関わっているのを目にしています。たとえば消費者行動の変化、パブリッシャーの新戦略、eスポーツの重要性の高まり、ゲーム市場全体におけるモバイルの容赦のないシェア拡大などです」。
注目株のモバイルゲーム分野
2018年、モバイルゲーム支出は10%以上増加し630億ドルに達した。モバイル分野は、世界中、特にアフリカ、ラテンアメリカ、アジア太平洋地域といったモバイルファーストマーケットにおけるにスマートフォン所有率の増加により起きているモバイルゲーミフィケーションの世界的トレンドに乗じたくてたまらないメディア企業から投資を引きつけ続けている。
「モバイルゲームは今や400億台を超えるアクティブスマートフォンをベースとして成長を続けています」とManning Smithは言う。「毎年、スマートフォンの技術はよりパワフルに、よりゲームに適したものになっています。2020年までにモバイル支出は750億ドルに達し、世界の全ゲームソフト市場の半分を占めると予測されています」。
高まるゲーム機分野の収益
ゲーム機用ソフトウェアも成長を続けており、消費者支出は2018年に280億ドル以上に達した。「ゲーム機用ソフトウェアのデジタル販売は一般的になってきており、Xbox One S All-Digital
Editionなどのゲームハードウェアの発展がこれを反映しています」とManning Smithはつけ加えた。「2018年には、デジタルフルゲームダウンロード1回につき2.3本のゲーム機用ゲームがアナログ購入されています。2023年には、デジタル購入の著しい伸びを受けてアナログとデジタルの販売量は互角になると我々は予想しています」。
デジタルコンテンツへのシフトは、PCゲーム市場における現在のトレンドに続くものだ。PC市場ではデジタルコンテンツへの大きな転換が起きており、アナログ販売1本につき35本以上のデジタルゲームがダウンロードされている。
圧迫される中規模パブリッシャー
ゲームパブリッシャー市場は主要企業への集中が続いている。世界には何千もの操業中のパブリッシャーが存在するにも関わらず、トップ25企業がゲームソフトウェア収益の75%近くを占めている。
Manning Smithは言う。「すべてはFIFAシリーズの成功に大きく依存しているEAとのフランチャイズの問題です。それからActivisionはBlizzardとの合併とKingの獲得によってその立場を多様化させましたが、その市場パフォーマンスは未だにCall of Dutyシリーズによって大きく影響を受けています」。
「それでも、大手の複合企業体が市場シェアを伸ばしているにも関わらず、インディペンデントディベロッパーとパブリッシングコミュニティーの成長も起きています。開発とパブリッシングの壁は近年、大幅に低くなっています。顕著なのがモバイル分野ですが、PCとゲーム機分野でも同様です」。
「そこは大手パブリッシャーと競争するのに必要なマーケティング資金と開発リソースの不足した中規模パブリッシャーのいる、難題の存在する中間地点です」。
中国がアメリカを飛び越える
最近までアメリカは年間ゲーム収益で世界一だったが、中国のPCゲーム、モバイルゲーム市場の成長により、今は中国に追い抜かれている。だがアメリカは世帯あたりのゲーム支出では年間199ドルで首位を保っている。
「Xbox 360の発売以後、アメリカはMicrosoft主導のマーケットです」とManning Smithは言う。「世界的にはSonyがMicrosoftの2倍の売上で著しく優勢であるにも関わらず、アメリカではその割合は同じくらいです」。
日本がゲームソフトウェア支出で世界第3位だ。それに対してイギリスは西ヨーロッパで最大のゲームマーケットであり、アメリカと多くの類似点が見られる。
先行きは明るい
「世界のゲーム市場に減速の兆しはほとんど見られず、モバイル分野が収益を引っ張り続け、2020年までに1500億ドル近くまで成長するでしょう」とManning Smithは言う。「eスポーツの台頭からも目が離せません。存在感を示し始めるでしょう。昨年の収益は7億6500万ドル目前に迫りました。2020年までには11億ドル近くになり、新たなプレーヤーを幅の広いPCゲーム市場に引きつけるのに非常に大きな役割を果たすでしょう」。