フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 170

リビングルームの主役に躍り出つつある4K UHD

2018年10月31日

2018年は4K UHDが主流となり、年末までに出荷される全テレビの約半分を占めるようになることがFuturesource Consultingの市場追跡レポートで明らかになった。

テレビ、放送範囲、STBがインストールされたベース、ブルーレイプレーヤー、ブルーレイソフトウェア、デジタル・トランザクション動画、デジタル・サブスクリプションを対象とするこのレポートは、最近の主な動向と4K UHDに関する将来の消費者トレンドを中心にまとめられている。

ハードウェアが市場をリードする

「HDに関しては、テレビ用ディスプレイの購入により4K UHDが堅調になっています」と、Futuresource Consultingのマーケット・アナリストTristan Veale氏は述べている。「これは好調なセグメントで、4K UHDのインストールベースは2022年までに現在の3倍、全世界でみた家計の普及率は37%に達するでしょう」

コンテンツ面でのギャップはあるものの、その差は縮まりつつある。消費者が利用できる4K UHDコンテンツの量は2018年前半に顕著に増加した。世界的に魅力のある様々な国際的なスポーツイベントの開催により放送用コンテンツが豊富だったからだ。

「韓国での冬のオリンピックは4K UHDで放送されました。オリンピック放送サービスと日本の放送局NHKによる尽力のおかげです」とVeale氏は言う。「ロシアでも、FIFAワールドカップの全試合が4K UHDで撮影され、衛星のほか、ケーブル、IPやOTTを通して配信されました。こうしたスポーツイベントは、フォーマットの放送に向けた理想的なテストベッドであることが証明されたほか、そのメリットも示されました」。

ブルーレイの可能性

放送以外にも、4K UHDはブルーレイを使った可能性の道が開けている。最大30枚もの4K UHD用ブルーレイディスクが毎月リリースされており、プレーヤーの価格低下も魅力的な水準になりつつある。にもかかわらず、消費者による4K UHD向けブルーレイプレーヤーの採用は緩慢である。これはおそらく、ベンダーの取り組み不足、米国とカナダ以外での小売店のサポート不足によるものだろう。

価格戦争による混乱

SVoDサービスで4K UHDコンテンツが利用できるようになると、消費者による認知度も高まる。この配信メカニズムは、エンターテインメント技術でも最新鋭のものだ。しかしながら、SVoDサービスを経由するUHDの追加費用はあったとしても微々たるもので、プレミアム製品として位置付ける状況とは異なる。4K UHDのデジタル・トランザクションモデルもまた、価格変動の時代を経験している。サービスプロバイダーや権利保有者についても、価格差、コンテンツのバンドル、配信メカニズムに違いがあるため、カスタマージャーニーがばらばらで分断化された状態が生まれている。プレミアム価格のUHD ブルーレイディスクの価格は概ね安定しているものの、デジタルサービスは、フォーマットを活性化し、デジタル保有の気分を促そうとする試みにより価格を大幅に切り下げている。「デジタルUHDに関して言えば、できるだけ早くオーディエンスの大半を獲得することが重要です。消費者の目を引き、長期的な視点で釘付けにするのです」(Veale氏)。「その結果、一部では積極的な販促活動がみられます。HD映画と同等の購入価格で4K UHDのコンテンツが利用できるようになりました。しかし、企業は一貫性にもよく留意しなくてはいけません。それにより混乱を最小限にとどめるようにするのです」

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