スマートスピーカーの魅力が消費者の注目を集め続け、より広範なオーディオ市場の減速を打ち消すばかりか、Amazonを世界最大のオーディオ機器ベンダーへと押し上げている。しかしながら、Futuresource Consultingが新たに発表した包括的市場レポートでは、新たな家庭用電化製品 (CE) 市場争奪戦の主役であるボイス・パーソナル・アシスタント (VPAs) とともに、これはより広範な市場変革のほんの序章であると報告されている。
「現在米国では、家庭用オーディオ・ハードウェア部門における出荷のほぼ3件に1件が、スマートスピーカーとなっています。これは1年ほど前には想像もつかなかった事象であり、CE業界全体を揺るがす可能性を秘めています。」と、Futuresource Consultingでシニア・マーケット・アナリストを務めるRasika D’Souza氏は語る。2017年第1四半期だけで、世界全体で340万台のスマートスピーカーが販売され、その小売販売総額は4億4,000万ドル超となっている。対前年比の伸び率は710%である。VPA絡みのより幅広い機会も含めて考えると、実際に面白いことになりそうな気配がある。
「MicrosoftがWindowsでPC市場の取り込みに成功し、またAppleがiPodの発売でMP3市場を独占し、さらにGoogleがその検索エンジンを背景に歴史的な地位を確立したのとほぼ同じ形で、オーディオ市場は完全なる勝者が消費者の財布のひもを支配できる未開の地になりつつあります。」
現時点で、米国とイギリスを除いては、この分野における関心は相対的にあまり高くなく、スマートスピーカーの約10%のみが米国外で販売されている。他の地域で関心の高まりがあるとはいえ、Futuresourceの見通しでは、2021年まで米国が依然として全世界における台数の50%超を占めるとしている。これは主に、世界の他の市場と比較した場合の米国消費者によるオーディオやスマートホームに対する関心や関連支出の集中度の違いによるものである。
しかし、VPAが新たな主力消費者インターフェイスになる可能性は、特に急成長を遂げるスマートホーム分野において、Amazon、Apple、Google、Microsoftによるプラットフォーム競争を生み出し、プラットフォーム普及の主導権を握るべく、各社が新たな製品を発表している。
「市場機会の規模を考えれば、CE大手が地位を求めて争い、消費者の注目を勝ち取っても驚くべきことではありません。これは単に、消費者向けの新たな音声インターフェイスを提供するという話ではありません。VPAは、あらゆる家庭用電化製品全般の新しい主要インターフェイスになると見られています。ここ10年間でおそらく最大の市場機会です。ここで成功した企業が、次世代のCEデバイス関連の主導権を握ることとなります。」と、Futuresource Consultingでアソシエイト・ディレクターを務めるSimon Bryant氏は付け加える。
現在までのところ、スマートスピーカーはVPAのコンセプトを消費者に理解してもらう点で、その特徴、機能、値ごろ感が理想的な組み合わせとなっているため、VPAテクノロジーを使用する機器としての本命となっている。今後VPAは、家庭、自動車、公共の場所における他のデバイス分野、さらにはモバイル・デバイスに急速に広がっていくであろう。
Futuresourceの見通しでは、現在家庭内ネットワークの中心にあるスマートスピーカーに取って代わり、来年からセットトップボックスがVPA関連で最大の単一カテゴリーになるとしている。
「来たるべきVPAの市場争奪戦にご注目ください。多くの企業がこの新しい変革の一端を担いたいと思っています。機器メーカーであれ、コンテンツ・プロバイダーであれ、必ずしも顧客がサービスにアクセスするために、AlexaやSiriに話しかけることを良しとはしないでしょう。VPAテクノロジーは、単一の企業が市場全体に影響力を持つ機会を与えてくれる可能性があります。自社のユーザー・インターフェイスを持つことで、関連するソフトウェアやサービスの利用を促進し、エコシステムを構築すると同時に、収益性の高いパートナー・ネットワークを発展させることが可能となります」とBryant氏は話している。