長方形のガラス画面もしくは昔ながらのグレー色のボックスを使わずにテレビのコンテンツを表示する革新的な技術により、消費者のもとに新たな視聴コンセプト、リビングルームのデザインを改めて活性化する素晴らしい機会がもたらされようとしていると、Futuresource Consultingがリリースした「A Review of the Global Screenless TV Market」レポートが伝えている。
このトレンドはすでに、中国市場で根を下ろしている。この国では最近、レーザーテレビやスマートプロジェクションという包含的な用語を用いてはいるが、スクリーンレステレビに対する需要が急増している。
レーザーテレビとは、超短焦点プロジェクターのことで、一定の画面サイズの製品が販売されている。他方、スマートプロジェクションとは、スマートな機能性が統合された自宅用シネマプロジェクターである。
Futuresource Consultingでは、Hisense、Inovel、XGIMI、JmGO等の中国ブランドが米国市場に参入すると予想しており、これにより少なくともあと1社の大手家電メーカーが追随し、急増しているテクノロジーとデザインに長けたアーリーアダプターを引き付けるとみている。
「中国企業は、美しく革新的なデザインを持つ製品を作り、ここ数年は開発の大きなうねりが起きています。その動きはとどまるところを知りません」と、Futuresource Consultingのアナリストでレポートの共同執筆者であるClaire Kerrisonは述べている。「こうした企業の次なる戦略的な成長ステージは、外国への進出です」
ごく近い将来について言えば、スクリーンレステレビが伝統的なLCD(液晶ディスプレイ)テレビの巨大な市場シェアを侵食することはないと考えられるが、この製品の成長が著しいため、2021年までに世界のプロジェクター販売の75%は自宅用になると予想されている。
TCLやHisenseなどのブランドがこのセグメントに参入している背景の一つには、少なくとも、平面パネルテレビの長期的な収益性維持に対する懸念がある。Hisenseでは、プロジェクションは未来の家庭用ディスプレイで主流になるとみており、LCDテレビを「凌駕する」可能性もあるという。この発言は世界最大手の一角であるテレビメーカーから出たものだけに、注目度は抜群だ。
「スクリーンレステレビのソリューションには、平面テレビでは対応できないメリットがたくさんあります。それは柔軟性、低コストの100インチディスプレイ、他の場所への移動性、眼精疲労の軽減などです」とKerrisonは述べている。「さらに、レーザーテレビは消費者に、テレビ視聴の新たなコンセプトを提供します。これは、コネクテッドホームの台頭と容易に関連づけられるほか、潜在的には同義語となります」
ただし、最近の需要の急増をもたらしている要因は、その機能性というよりはこのソリューションが持つデザインにある。モダンで洒落た製品は、プロジェクターに馴染みのあるユーザーにとって標準的なグレー色のボックスとは根本的に異なるものだ。
「中国のブランド企業は、プロジェクターに新鮮な感覚を持ち込み、製品を単なるディスプレイのソリューションだけでなくリビングルームの美意識に付加される『エンターテイメント・システム』としてマーケティングしています」と、Kerrisonは言う。「こうした企業は、ただスタイリッシュなデザインを創り出しただけでなく、セールスチャネルを構築し、このような革新的な製品を積極的に、かつ一定のスケールで販促するだけの能力とリソースを持っています」。Futuresource Consultingはそのレポートの中で、この成長著しいディスラプティブ(破壊的)な製品セグメントの短期および長期の成長に影響するとみられる複雑に絡み合う要因を詳細に調査している。