フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 125

オーディオ業界がスマートホームの新たな主役として大きく伸びようとしている

2016年11月30日

Futuresourceの最新の調査では音声認識技術が家庭用電化製品の業界を大きく変えようとしている。スピーカー業者の地平は広がり、音声による門番システムやスマートホーム、機械学習などのオーディオ関連デバイスの最発明が続いているのだ。

「コネクテッドホームの立ち上がりにオーディオ業界が主役を演じるのは明らかです」と、Futuresource Consultingのオーディオ機器担当シニアマーケットアナリストのRasika D’Souzaは語る。「オーディオ機器に無線接続を取り込んで、単なる音の再生箱だったスピーカーは飛躍を遂げています。形状も自由に変えられるし、音響を再生し増幅する主要装置としてスマートホームの中心に位置を占め、さまざまなニーズを実現し付加価値の大きなサービスへの扉を開くようなサプラーチェーンへと一般消費者を結びつけています。」

Futuresource Consultingの最新調査によれば、今年の音声補助機能付きスピーカーの出荷台数は世界全体で630万台となり、売上高は$8.9億となった。このVPA市場で先頭を走るのはAmazanのEchoで、直感的に使える音声技術と3,000に上るアプリや「スキル」を備えて、6月以来売り上げ台数を3倍に伸ばしている。このEchoを使えば既に、誰かが家のドアベルを鳴らしたら知らせてくれるし、電化機器や照明のオンオフはもとより、エアコンやヒーターの調節からピザの注文までできるのだ。

Futuresourceの調査によれば、AmazonのAlexaスピーカーは (EchoとDotやTapも含めて)、世界の無線式スピーカーの出荷台数の8%を占め、アメリカ国内に限れば15%に達すると予想されている。2016年末までには、音声機能付きスピーカーは全Wi-Fiスピーカーの出荷台数の51%に達するだろう。

そして、商機はオーディオ市場の枠を超えて広がり、SonosやDenon、Bose、DTSのPlay-FiスピーカーブランドがAmazon Echoとのパートナーシップを公表している。JD.comはすでに中国市場向けのVPAスピーカーを持っているし、スタートアップ企業のOmateもAmazonのパートナーとなって「Yumi」と呼ばれるAndroidベースのパーソナルアシスタントを発表した。一方で小売り大手の楽天も来年、日本市場向けにVPAスピーカーを発表すると期待されている。

「家庭電化製品の中で勝者となっているのは、消費者の動向の変化という荒波にうまく乗った企業です」とD’Souzaは言う。「次の大きなテーマは音声認識技術で、これは実際とてつもない大きさです。誰もが私たちにそう答えます。音声を組み入れるにはスピーカーはまさに理想的な特徴を備えており、オーディオ企業がこれを正しく取り扱うことができれば、目下これが巨大なチャンスなのです。」

オーディオ関連企業は、家庭での音楽鑑賞のユーザー体験を絶えず向上させ続けている。無線化ステレオシステムがBluetoothやWi-Fi機器へと大きく展開し、スマホ上での手軽なストリーミングを助けている。その中心テーマは、これまでは多室対応能力だったが、今では音楽コンテンツを直接スピーカーで再現することに変わっている。AppleミュージックをSonosスピーカーで再生し、Spotifyの楽曲をBoseのスピーカーで直接鳴らすのだ。

「そして今や、スピーカーがどんどん賢くなり他のスマートホーム用機器と通信しあう能力が付いて、この業界は大きなチャンスの窓を見つけたと感じています。スマートホーム革命の波打つ心臓の位置を得たわけです」とD’Souzaは語るが、警戒も必要だという。

「既存のオーディオのブランドの勢力図は、市場シェア拡大を狙うAmazonやGoogleといった巨大な技術会社によっていとも簡単に脅かされるかもしれません。これから2,3年の間に音声インターフェースは隆盛を極めることでしょう。これまでは画像やタッチスクリーンがインターフェースの中心でしたが、音声とスピーカーはある環境下ではより使える技術になるはずです。長期的には、TVや電化製品、電球、そして家具の統合化が進むでしょうし、そうしたチャンスを前に素早く行動する企業が勝利者として名乗りを上げるでしょう。」

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