2013年のテレビ市場が低迷した後 – 売上げと出荷台数がそれぞれ前年比で4%と2.6%の減少となったのだ – 2014年はこの分野が再び成長に向かうだろうと、Futuresource Consulting社の最新の戦略的レポートが予測している。
「先進国ではフラットパネルが飽和状態に達して供給過剰に陥り、販売側の収益を押し下げています」とFuturesource Consulting社の主席市場アナリストのJack Wetherillは語る。「さらに、アナログからデジタルへの転換が刺激材料となったのは2012年までで、2013年には持ち越されませんでした。
「しかしながら、昨年はグローバルには市場が弱含み、TVの実売ベースで1千40億ドル (10兆円) にまで落ち込んだとはいえ、着実に儲けた国々もあったのです。中国では弱かった2012年の後、2013年に市場が力強く成長して4,700万台に達しました。特に、政府の補助金政策に支えられた上半期は強力でした。ラテンアメリカ、および中東からアフリカにかけても成長した地域で、それぞれフラットパネルの台数で3%および6%の伸びとなっています。
「2014年に入り、グローバルのTV市場は年率で1%程度、台数にすると2億3千万台を超えると思われます。この成長を支えるのは、ラテンアメリカ、中東からアフリカにかけて、それに新興のアジア太平洋地域です。売上げはさらに大きな伸びとなり、予測では2%、1千50億ドルを超える勢いです。」
4Kのリスク
収益率を上げようと、パネルの製造会社とTVメーカーは新世代の4K TVセットに力を入れ始めた。Futuresource Consulting社の予測によれば、4Kセットは今年グローバルTV市場の5%を占め、2018年には42%にまで上昇するという。価格面への期待も大きいが、業界はHDからさらに高度化するセットの新たな能力に希望をつないでいる。コンテンツ業界が4K用のコンテンツを作り出し流通させて広めていくよりも先に、一般消費者にこうしたセットにとびついてほしいのだ。
より大画面の市場分野はいまや急速に4Kに移り変わっていくだろうと期待されている。これによって大きな影響を受けるのが供給元であるパネルの製造会社で、激しい競争の圧力にさらされながら効率化を求められるという結果に至る。
つながりを保つ
インターネットに接続できるTVセットはTV市場でシェアを伸ばし続けており、昨年はグローバルの台数ベースで39%に達し、2018年までには87%に上昇するだろう。TVメーカーはその製品群にさらに技術を注ぎ込み、視聴者に関連したインターネット上のサービスを最大限に利用してもらおうとしている。
カーブに乗る
売り上げを伸ばしより大きな利益を生むように、一つ別の試みが成されている。多くのTVメーカーが曲面TVを市場に投入し始めた。これならより没入した体験ができるし、画面がぎらついたり反射したりしないというのだ。
「曲面TVはより大画面の市場ではニッチにすぎないでしょうが、この曲面TVに価値を認める消費者がどの程度いるか、引き続き見守る必要があります。とりわけ、中型から小型サイズの画面を選ぶ階層の中に。」とFuturesource Consulting社のリサーチアナリストのWilliam Prattは言う。
勝者と敗者
「サムスンの世界最大のTVメーカーとしての地位は2013年にさらに強固になりました。価格設定でも機能の選択でも他社をリードしています。」とPrattは続ける。「ソニーに加えサムスンも4K市場で初めから先頭を走っています。
「中国の国内ブランドの世界市場への進出も続いており、中国の国内市場が落ち込無に連れてますます急激に拡大していくと思われます。これと対照的なのが多くの日本のブランドで、昨年も需要の減退を受けて国内市場でのシェアを落としており、韓国の大メーカーに価格面でも負けています。」
2014年以降、Futuresource Consultingは、グローバルのTV市場が2018年まで台数で年平均3.3%の成長を続けると予測している。これは主に、ラテン・アメリカを始めインドやアジア太平洋の新興国地域でのフラットパネルの需要の大きな伸びを見込んでいるのだ。先進国市場では2015年以降の需要の伸びは小さめとしている。これはフラットパネルがブームとなった頃に購入したTVセットの自然な買い替えサイクルを考慮した結果だそうだ。