―世界のヘッドフォン市場は、コロナウイルスの影響にもかかわらず、72億ドルの収益と前年同期比22%の成長を達成し、好調な第1四半期であった。これは、Futuresource Consultingが世界ヘッドフォン・トラッカーの四半期ごとの速報結果を発表した際の最新の数値に基づく。
トゥルーワイヤレスが市場を開拓
トゥルーワイヤレスは全地域で成長を牽引し続けており、同期中に出荷されたヘッドフォン総数の40%近くを占め、2019年第4四半期の36%からシェアを高めた。これに助けられ、Appleは第2世代のAirPodsとAirPods Proの製品ラインナップが業績好調で、ブランドシェアのトップの座を維持した。サムスンは、Galaxy BudsおよびGalaxy Buds+の成功と、一部のフラッグシップスマートフォンとのソフトバンドル戦略が功を奏し、トゥルーワイヤレスで2位に浮上した。Xiaomiもシェアを伸ばし、トゥルーワイヤレス市場で3位の座を獲得した。
「新型コロナ感染症を抑制するために課せられた製造停止の初期には、多くのヘッドフォンブランドが第1四半期中にサプライチェーンに供給できるだけの十分な在庫を保有していた」と、Futuresource Consultingの上級マーケットアナリストAdriana Blanco氏は述べる。「とはいえ、これまで問題なく進んできたわけではなく、自主的に、もしくはブランドが供給を確保できないために、一部の製品発売が遅れた。第2四半期には、本セクターの販売数は2桁の打撃を受けると予想している。これは、2020年第1四半期の製造閉鎖による波及効果、各国のロックダウン措置、サプライチェーンの混乱が重なったことによるものである」
消費者需要は上向きと下向き両方の圧力を受けている
「消費者需要もまた、相反する方向への圧力がある。人々は自宅で仕事をしているか、単にホームエンターテイメント環境を改善したいと思っている。しかし、多くの主要国においてロックダウンが経済の収縮を引き起こし、失業率を押し上げているので、消費者は慎重になり、その可処分所得は減少している。当社では、大手食品小売店との流通取引関係が良好なブランドや、オンラインでの存在感のあるブランドの方が、家電専門店に頼っているブランドよりも良い結果を出していると見ている」
アジア太平洋地域での混乱は予想以上に軽微
Futuresourceの調査によると、アジア太平洋地域のヘッドフォン出荷数は他の地域ほど深刻な影響を受けていない。中国の製造閉鎖は旧正月明けの2月に始まり、Futuresourceではその後6週間ほど閉鎖状況が維持されたと推定しており、中国の供給サイドの問題は2020年下半期には克服できるとの見込みがある。西欧の出荷数は、第1四半期にイタリア、フランス、スペインでウイルスが拡散したため、全体的に若干の影響を受けた。米国の出荷数は、トゥルーワイヤレスセグメントは堅調な成長を続けたものの、ロックダウンの開始がかなり後であったことを考慮すると、予想を下回る業績となった。
「当社の調査によると、第1四半期の全体的なヘッドフォン価格は安定していた」とBlanco氏は話す。「これは、トゥルーワイヤレスにおける成長とApple AirPodsの継続的な人気に牽引されたものだ。今後は、経済が弱体化する中でブランドが消費者の出費を引き出そうと競争するため、価格設定は若干下がる可能性がある」