フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 114

写真用アプリと写真シェア市場に押し寄せるデジタルイノベーション

2016年05月31日

一般向け写真のプリント市場は、目の前で大きく変わろうとしている。過去2年間、従来のデジタル画像やフィルム写真のプリント市場は毎年2桁の縮小を続けている。2015年、西ヨーロッパでは、一般向け写真のプリント市場は金額で4.7%落ち込んだ。それが反対に、前向きな意味で、今日この市場は破壊的イノベーションによって安定化しているようだ。

2015年に、写真プリントおよびフォトブックの市場は12.5%の成長を見せた。フォトビジネスが新たに姿を現したアプリ分野をうまく育て上げた結果である。そしてこれは、携帯機器への対応が進み、画像シェアやソーシャルメディアの利用が増大し、デジタルメモリーを利用してよりクリエイティブになりたいと願う一般消費者の望みに突き動かされた、大衆からの需要と良好な市場状態の支えとなるものだ。

Futuresource Consulting社の最新の消費者動向調査「写真プリントアプリの衝撃」によれば、写真プリントアプリをはじめアプリ市場全般は、しっかりとした成長を続けている。写真用アプリのダウンロード数は、携帯用デバイスの所有者数に対応して増大している。Futuresource Consulting社は、2016年には西ヨーロッパの人口の83%がスマートフォンを通じてインターネットにアクセスし、2020年にはその割合は89%に達すると予測している。

「携帯デバイスで撮影され保存される画像の量は指数関数的な伸びを示し、カメラの分解能の向上につれて、一般の人々がぜひ印刷したいと望む画像も増えています」とFuturesource Consulting社リサーチアナリストのPolina Vormsは語る。「携帯で撮った写真を紙面に印刷してみたいと考える消費者は、すべての年代に広がっています。もし撮影されたデジタル画像のたとえ1%だけでも実際に印刷されるなら、写真プリント市場は一年で倍増するでしょう。」

この写真プリントアプリに関する最新レポートは、英独仏の市場にまたがり、最近発行された「Consumer Photo Sharing Report:一般消費者写真シェアレポート」を補うものだが、これは、異なる年齢層別、すなわちミレニアル世代 (18-34)、熟年 (35-54) および老年 (55+) 別に、画像シェアやデバイスの利用、写真関連製品の購入をはじめとする写真プリントに関連する消費行動に関するデータを集め、量的および質的に分析したレポートである。この消費動向調査は、欧州の主要3市場である英独仏に加え米国の市場を対象にしている。

この市場にあるチャンスにさらに焦点を当てるために、Futuresource Consulting社の過去のレポートを振り返ると、興味深いものがある。同社はその中で、デバイスの画像撮影のための使用頻度とそうして撮影されるデジタル写真の数量は今後著しい伸びを示す、と予測していた。 2016年末の西ヨーロッパで、デジタルカメラで撮られる画像数が5,500万枚、スマートフォンでは6億3,800万枚との数値予測をしていたのだ。このレポートはさらに、デジタル写真を処理する際に好まれる方法と、一般消費者の好みが2014年以来どのように変遷してきたかについてについて、深い考察がなされている。

過去5年間、ソーシャルメディアは勢いよく発展を続けており、そこでデジタル画像に何が起こっているか、つまり人々が写真シェアをする方法や人気の高いアプリ、利用されるプラットフォームなどについて、よく理解することが極めて重要となる。デジタル写真をシェアする方法としてはeメールの人気は大きく落ち込んでいるが、これはおそらく、友人や家族の間での写真シェアに広くさまざまな方法が登場したためであろう。Facebook (24.1%) は、他のプラットフォームを大きく引き離し首位の座を守っている。2番手にはWhatsAppが3.3%の成長で9.1%を占め、Dropbox (6.8%) が3位で続く。

使用されるデバイスに関しては、写真撮影に一番多く利用されるのがスマートフォンなのは明らかだ。弊社の前回の調査と比べても9%成長している。前回も述べた通り、スマートフォンに搭載されるカメラはレンズも分解能も絶えず向上を続けており、スマートフォン自体もその重量と電池寿命が向上を続けているため、固定レンズのカメラに代わるものとしてますますふさわしい位置を占めている。

最後に、写真関連商品の購入をみると、ミレニアル世代が最も一般的な買い手であり、将来的にはより大きな購買意欲を示している。Futuresource社の写真シェアに関するレポートの最新版によれば、写真プリントが突出した人気を誇る商品であり、一般消費者はこの購入に将来的にもより大きな興味を持っている。例えば、英国の回答者の50%が写真プリントに興味を持っており、フォトブックに興味がある29%を大きく引き離している。