英国市場調査会社Futuresource Consultingは、オーディオ機器追跡サービスより最新の調査結果を発表した。これによると2015年、世界における家庭用オーディオ製品の需要は24%増加して8,820万ユニットとなったほか、取引総額は98億ドルと安定的に推移した。出荷数量は2015年12月に出されたレポートの予測をわずかに上回り、中でも一部の市場ではワイヤレススピーカーが顕著な販売増を記録した。
「消費者がスマートフォンで音楽コンテンツを保存し、これを聴くようになっているところ、オーディオは堅調な成長を続けています。Bluetoothは、以前からあるHi-FiシステムやA/Vレシーバーを含め、オーディオ機器の60~70%に含まれています」と、Futuresource ConsultingのマーケットアナリストRasika D’Souzaは話している。「最新のオーディオビジネスレポートによると、「Wi-FiなしのBluetooth付きスピーカーの出荷数は2015年に72%増となりました。Bluetoothがもたらす利便性と携帯性を消費者が実感し、これを楽しんでいるのは明らかです。」
成長しているとはいえ、マルチルームタイプのオーディオカテゴリーの実績は低調で、業界の予測に届いていない。これは、店舗内での小売店によるサポートが限定されているほか、Wi- Fiが利用可能なエコシステムに様々なものがあり消費者が混乱しているためである。
この問題を解決する可能性として、Googleは2015年にCastテクノロジーをオーディオハードウェアに導入したほか、LG、Sony、B&O、Philips、Vizio、Raumfeldなどといった数々の主流ブランドからのサポート体制を構築している。その目的はWi-Fiエコシステムを拡大し、ブランド間でのインターオペラビリティを達成することである。Googleは2016年末までにブランド企業からのサポートを倍増させる予定だ。
このカテゴリーの将来は、AmazonやGoogleといったテック系の巨人企業が音声アシスト機能を備えた機器を導入することによって業界の境界を広げていくなかで進化を続けるだろう。業界では、この動きがハードウェアベンダーにとっての開拓すべき新たな機会になるとみている。もちろん、Googleは検索エンジンとしての強みを活用しており、Google PlayやGoogle Castといった別のサービスと組み合わせようとしている。他方でAmazonは強力なオンライン販売や音楽加入サービスから便益を受けることになるだろう。Futuresourceでは、Amazonが2015年第4四半期に米国で約100万ユニットを出荷したほか、2016年にはさらに250万~300万ユニット増加すると予想している。
このレポートではそのほか、2015年にHarman/JBLがユニット数で11%のシェアを獲得して家庭用オーディオブランドのトップを維持したほか、Boseが販売収入で18%のシェアを確保して市場をリードしていると伝えている。両社とも、Bluetooth対応のスピーカー部門で強みを発揮したことを受けて家庭用オーディオ市場でトップの座をつかんだ。
消費者家電やメディア業界の多くが成熟しつつあるなか、オーディオハードウェアや音楽業界は全体としてこのトレンドに抗おうとしているようだ。テクノロジーや消費者の期待はかつてないスピードで進化しているため、その勢いを持続させるためになすべきことがまだたくさんある。