フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 123

コンシューマエレクトロニクス業界(CE)における次の戦場はスマートホームとスマートアプライアンス、しかし消費者の混乱も広がる

2016年10月31日

スマートホーム自動化、スマートアプライアンス保有、そしてスマートホーム監視は最も勢いがあり、成長期待も高まっているが、消費者が抱く混乱の広がりもあって普及に影響が出ていることがFuturesource Consultingの最新かつ全体的な消費者調査により明らかになった。

英国、フランス、ドイツ、米国の4,000人以上を対象としたこの調査によると、消費者の約半分が次にスマート洗濯機を「まずまず購入したい」、「とても購入したい」、「かなり購入したい」と回答したという。スマート冷蔵庫についても同様の反応が得られた。

業界にとってさらに嬉しいことに、現在スマートアプライアンスを保有している人の94%は、次回購入する際には手持ち機器をやはりスマートアプライアンスに買い替えると回答した。この機器を一度味わった人はその機能がなくなるのを想像できないことを示している。

Futuresource Consultingのアソシエイト・ディレクターSimon Bryant氏は、「CE業界にとってすべてがありがたい話ばかりではありません。スマートアプライアンス保有者はイノベーター的な消費者以外の層にも広がっていますが、多くの人はスマートアプライアンスの定義に戸惑っています。それは深刻な問題です」と話している。

「この混乱を裏付ける情報として、スマートアプライアンスを保有していると回答したのは消費者の21%でしたが、回答内容を精査したところスマートフォンやスマートテレビもスマートアプライアンスに分類していたのです。この概念は、多くの消費者に受け入れられているとはいえないでしょう」。

Futuresourceのスマートホーム調査にある多くの結果は、スマートアプライアンスのメリットについて消費者を教育する必要性を明らかにしている。この機器を購入した人は価値を見出し、保有することに対し実体的なメリットを嬉しく感じている。世界の世帯向けアプライアンス市場は2019年までに3,000億ドルを超えると予想されている。スマートアプライアンスのメリットを業界が多くの消費者に教育できれば、この市場の技術的なロードマップがさらに広がり、消費者の無駄遣いを抑え、自宅を厳密に管理できる機会を与えるだけでなく、ベンダーにとっても付加価値サービスや加入サービスからもたらされる追加収益が生まれる。

洗濯機と冷蔵庫については、ブランドロイヤリティが高くなっている。特にSamsungは回答率11%と群を抜いており、製品保有者10人のうち7人が次もまたSamsung製品を購入したいとしている。これに続くのがLGで、LG製品保有者のうち6人が同製品を購入したいという。

洗濯機だけに関して言えば、Whirlpoolの浸透率が回答者ベースで12%と最も高く、これにBoschの 10%、SamsungとHotpointの7%が続いている。この製品では将来に向けたブランドロイヤリティも高く、とりわけBoschとSamsungは各製品保有者10人のうち7人に近い人が次回もまた同じ製品を購入したいと回答している。

スマートアプライアンスとスマートモニタリングサービスにおける信頼性の点でもSamsungが再び評価が高く、5人に1人がこのブランドを推している。Boschがこれに続いているが回答率は10%にやや届かない程度の水準だった。

既存のアプライアンスメーカーだけでなく、Apple、Sony、Microsoft、Googleといった企業についても消費者は認識している。回答者の中には既存の白物家電メーカー以外のところを購入先として考えているが、こうしたテック系企業は幅広い支持を集めているわけではなく、まだ対応すべきことがありそうだ。
スマートアプライアンス以外にも、エンターテイメント配信・制御、セキュリティ、ライト、気象管理などの形でスマートホームが形作られている。Bryant氏は、「機会が拡大するにつれて、様々な業界の多くの企業がこの分野に関わるようになっているのは驚くことではありません。当社の調査でも5人のうち1人が何らかのスマートホームサービスを利用しているという回答にあるように、スマートホームは戦略が必要とされる戦場になりつつあります。ここではセキュリティと遠隔モニタリングが、特に米国において主流となっています」と話している。
「教育面での格差が埋められれば、この業界にも関心が寄せられるとみています。遠隔モニタリング、住宅コントロールシステム、音声でのインタラクションに注目です。米国でのローンチの2年後に英国でデビューしたAmazon Echoは直感的な音声テクノロジー、3,000のアプリ、さらには一種の「スキル」も備わっていますが、これはスマートホーム全体の革命をもたらすカタリストになる可能性が証明されるでしょう。GoogleとAppleもある時期からこの業界で一定の役割を果たしており、業界にさらなる勢いをもたらすでしょう」。

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