Futuresource Consultingが発表した最新レポートによると、テレビの出荷台数は昨年2%減少した後、2016年は年末にかけて出荷台数が2億2,500万台と横ばい、市場規模は860億ドルに達するなど反転の兆しがある。
「2016年、世界全体でみたテレビ市場は安定していましたが、国別にみると大きな違いがあります。例えばフランスでは20%成長したのに対し、メキシコとブラジルは10%超の減少を蒙りました」と、Futuresource Consulting のシニアマーケットアナリストJack Wetherillは述べている。
「当社の調査は25か国の市場データを作成していますが、それによると今年は中国の需要が少なくとも5%増加しました。この国で出荷されるテレビは、世界全体の5分の1を占めています。インドやその他アジア太平洋諸国も世界統計の動きに大きな影響を与えています」。「他方、ロシアの落ち込みが影響している東欧は低迷しました。フランス、ドイツ、英国は好調でしたが、西欧も苦しい。中南米もマイナスです」と、マーケットアナリストのDavid Tettは述べている。
「世界では、政治・経済面でのストーリー展開がみられるなか、多くの人にとってこの光景は状況の判断が難しいですが、当社は包括的なアプローチを採用することで頑健なデータセットを確保し、2020年までのテレビ市場の平均年成長率(CAGR)を3%と予測しています」。
4K UHDテレビの成長は、特に米国では当初見通しに及ばないが、堅調さは維持しており、2016年の出荷台数は75%増、全テレビ台数の25%を占めるとみられる。
Futuresourceは、多くの小売店にとってブラックフライデーの目玉商品が4K UHDテレビになると予想していた。米国その他多くの市場では、セールスの機会をとらえて多くのメーカーが数百ドルの値段で4K UHDセットを販売するとみられている。2020年までに4K UHDテレビが総出荷台数に占めるシェアは60%まで上昇するだろう。他方、2016年におけるスマートテレビは59%を占めるほどになっているが、Pay TVといった代替製品の浸食やインターネットの通信速度が遅いという理由で一部の市場では低迷を続けている。とはいえ、2020年までには出荷されるテレビの4分の3はスマートテレビとなるだろう。OLEDは現在でもニッチ的な新興商品であるが、2016年はOLEDパネルを備えたテレビを製造するメーカーの数が増えた年でもあった。
2016年の出荷予想台数は約100万台で、この数字は世界のテレビ市場の数量ベースでは0.5%を占めるにすぎないが、プレミアム的なポジショニングと相応の価格設定により、金額ベースでは3%を占める。個別ブランドをみると、SamsungとLGは引き続き欧州の中心メーカーである一方、米国ではLGが SamsungとVizioに続く三番手につけている。この魅力ある両市場では、中国メーカーが足場を築こうと懸命になっている。日本ではシャープが市場をリードしており、中国ではSkyworthとHisenseが首位の座をかけて争っている。