London, 2012年1月5日- Futuresource Consultingは、K-12(幼稚園Kindergartenから高校卒業までの13年間の教育期間) におけるPC市場の展望に焦点を絞った戦略的研究レポートを発刊。教育関連PC出荷数 2011年~2016年複合年間成長率(CAGR)を28%としている。
世界のPC市場は伸び悩んでおり、企業や一般消費者向けPCで収益を維持することは困難になってきている。しかしながら、教育界はこれに反し、ベンダーや部品サプライヤーに新しいビジネスチャンスが訪れている。
「教育がグローバルに大きく変わろうとしていることは明白である。この変化の核となっているのは、学習ツールとしてのICT導入である。」と、コンバージェンス & ニューテクノロジー コンサルタントのMike Fisherは語る。「個人のペースに合わせたより充実した学習環境を提供できることから、多くの政府が、授業へのICT導入に注目しており、1:1の学習プログラム徹底に取り組んでゆく方針を打ち出してきている。教育投資が選挙での勝因につながることに加え、商品の低価格化・カスタマイズ化の流れにあることからも著しい需要増が望まれている。全世界の14億人に及ぶ生徒と教師数を合わせた市場は、ベンダーにとってはまたとないビジネスチャンスと言える。」
ハードウェアに加え、コンテンツと配信インフラは、ICT導入を効果的に成功させるための重要な鍵を握っていることから、電気通信事業者が教育関連の技術開発により深く関わってきている。デバイスのネットワーク接続やハードウェア及びコンテンツ提供のための資金援助など、多方面での連携が図られている。企業が協力を惜しまない背景には、IT依存の生徒数増が長期的にはコンテンツ消費増につながるという思わくがある。結果的に、電気通信業界は、民間からの重要な資金源であり、今後もこの位置付けは変わらないと思われる。
Futuresourceの調べによれば、全世界の教育PC出荷台数は、中・南米での活発な市場の動きから、2011年には1,100万台を超えた。
「昨年は、国を挙げての大プロジェクトがいくつか展開された。アルゼンチンでは、Conectar Igualdadプロジェクトが2011年半ばで第2段階の目標に達し、120万台のデバイスが全国に配置された。最終段階への準備も整ってきており、2012年も前年に類似した数字が見込まれている。国境を越えたウルグアイでは、Plan Ceibalプロジェクトが展開され、小学校(primary school)でのICT普及率は100%である。中・高等学校(secondary school)での普及率も2012年にはほぼ100%となる予定である。」
2012年以降、複数の政府入札が期待されており、多くの地域での大幅な販売増が予測されている。全世界の出荷数は、2012年には1,200万台に近づき、2016年までには4,000万台を超えると思われる。しかしながら、実際の利用数での2016年グローバル普及率は依然8%を下回る見込みである。
市場参入に際しては、購買等の意思決定を誰が行うかという各国の権力階層を見極めた上での戦略を練る必要がある。
「10年以上にわたり教育市場の調査を行ってきているが、地域の経済発展と学校への投資との間には相関関係が殆ど無いことが明らかである。」と、市場アナリストのJoe Muganは語る。「ICT導入の鍵を握るのは政府の支援である。有権者の支持固めといった意図からも教育支援は推進されている。しかしながら、ドイツや日本といった多くの経済大国は、伝統的な教え方を重視しており、その結果、学校でのICT導入は相対的に低いレベルに留まっている。ICT導入に意欲的なのは他の地域で、今年注目すべきは、トルコ・タイ・中近東などである。これらの国々では、数十億ドル規模の入札が始まると思われる。」
「ICT導入の進捗状況は、各国の意思決定の複雑さにより異なる。広域にわたるICT導入を迅速かつ容易に推し進めることができるのは、中央政府で予算が組まれる場合だと言えよう。しかしながら、政府の体制がどうあろうとも、適切なターゲットに適切なタイミングで焦点を絞り、国柄に適した戦略で臨めば、ベンダーは大きなチャンスを手に入れることになろう。政府が一旦教育への投資を決定すれば、迅速なる履行、莫大なる出資が期待される。くれぐれもチャンスを見逃さないことである。」