拡張現実 (AR: Augmented Reality)と混合現実 (MR: Mixed Reality)がアプリケーションエンハンスメントにもたらす機会には相当なものがあり、新たなマネタイズの機会を提供している一方で、そのテクノロジーは消費者の日常生活で使われる機能からすると程遠いことが、モバイルのARとMRを追跡調査しているFuturesourceの最新業界レポートにより明らかになった。
ベンダー、コンテンツクリエータ、サービスプロバイダによる実地調査のほか、モバイル端末の予測および既存調査からの成果を含むこのレポートによると、基本的なキラーアプリケーション開発、最終的に支配的なモバイルAR/MRのプラットフォーム確保に向けた競争は始まったばかりであることが判明した。
「モバイルAR/MRが置かれている状況はまだまだ揺籃期ですが、Facebook、Apple、Google、SnapChat、Microsoftなどの企業にとっての最終的な姿は明らかです」と、Futuresource Consulting のマーケットアナリストMichael Boreham氏は述べている。「AR/MRは次の主要コンピューティングプラットフォームになると考えられており、通信、ユーティリティ、エンターテイメント、eコマースなどの業界でデジタル的なインタラクションを進化・促進させる可能性を秘めた革命的、技術的な飛躍を目にすることになるでしょう」
関心の大半は仮想現実を「必要不可欠な」消費者デバイスとして確立することに注がれているが、2017年はARとMRの世界で多くのアクティビティが実践され、かなりの数の業界大手もこの分野に触手を伸ばしてきた。
消費者向けモバイルAR/MRの全体的な市場規模は2016年に17億ドルに達したが、これを先導したのはSnapchatとポケモンGoだった。Futuresourceでは、ポケモンGoの当初の成功とその後の勢い低下によって市場が膨張したとみており、市場規模は今年14億ドルに落ち着くと予想している。
しかし、長期的な見通しをみると2017年から2021年にかけての平均成長率(CAGR)は驚異的な77%となっており、モバイル AR/MRの市場規模は2021年末までに141億ドルにまで急増すると予想している。
デバイスを問わないアプローチ、巨大なユーザーリーチ、イノベーションを起こす能力を活用した資本化により、この分野での成長で大きな役割を果たすのはソーシャルメディアになるだろう。ここでの課題は、消費者によるアドプションを促す一連の基本的なアプリケーションを開発することだ。
消費者向けAR/MR市場では、広告の占める要素も大きくなる。Google、Apple、Facebookはすべて、現行のユーティリティデバイスにより多くのAR機能を取り入れつつあり、検索やソーシャルメディアが主導していくだろう。
「現在は、AR/MRのキラーアプリが出現する前の10年間という過渡期なのかもしれません。しかし、テクノロジーの開発が進み、手頃なデバイスが市場に投入されるにつれて、ARやMRは、とりわけエンターテイメントやユーティリティタスクの分野で日常利用の主流へと押し上げられるでしょう」と、Boreham氏は述べている。
「主戦場は、どのプラットフォームが最もイノベーティブかというところではありません。ソーシャルメディアネットワークは相手の出方をうかがい、そのアイデアを反映させているからです。むしろ、どのエコシステムが勝ち抜くかというところにあります。最終的には、どこが消費者の取り込みに勝利を収め、AR/MRを活用しつつ消費者のモバイルコンピューティングニーズをどこで実践していくようになるかで決まるでしょう」