フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 149

家電に関する新たなデータがまとめられ、勝者、敗者、未来の可能性が明らかに

2017年11月30日

Futuresource Consultingは、世界の家電の展望をまとめた総合年次報告を発表した。それによると世界中の家電売上は2016年には0.3%増えて通商レベルで6730億ドルに達した。このペースでいけば2021年には業界の年平均成長率は1.7%となる。

同報告は、TV/AV、モバイルデバイス、PC、ウェアラブル、カメラ、ゲーム機、自動車インフォテインメントなどをカバーしており、家電マーケットが全体としては縮小していること、それに伴い多くのブランドが、将来の成長へのハードウェアコモディティ化の影響を懸念していることを示している。 Futuresource Consultingの主任アナリストJack Wetherillは語る「見通しは厳しいものです。デジタル・メディア・アダプターやメディア・ストリーマーを搭載したTV/AV製品、家庭用オーディオ、ヘッドフォンは消費者を惹きつけておりニーズも高いので成長が見込めます」

「ウェアラブルは好調な滑り出しを見せましたが、2016年は売り上げが頭打ちになりました。アップル・ウォッチ人気は下火になり、安い価格帯の健康・フィットネス機器が伸びています。しかしこの分野にはまだまだ期待できる部分も大きく、来年には改善するでしょう。他のモバイルとの差別化が図られているデバイス、特にスマートウォッチは注視しておく必要があります。マーケティングの結果は、差別化によりスマートウォッチは時計の主流になりつつあることを示しています。我々は、2012年以降ウェアラブルは大きく成長し、年平均成長率は14%に達すると予想しています」

モバイルはいまだに家電のオールスタープレイヤーで、今や、世界の家電売上の50%を占めている。スマートフォン売上台数は16億台に達し、2016年そのトレードバリューは4%の伸びを示した。2021年までにはモバイルの売上は3600億ドルを超えると思われる。 TV受像機市場は昨年大きく縮小し、市場価値は10億ドル以上縮小した。しかし、高価格帯の品物は消費者を刺激しており、4K UHDへのシフトは反転をもたらすかもしれない。Futuresourceは2021年までにAV分野全体の市場価値は1500億ドルを越すと見ている。売上拡大のほとんどの部分はTV受像機がもたらすものである。

スマートホーム機器は成長し続けるだろう。競合するエコシステム間の分断や相互運用性欠如の問題が解決されつつあるからである。デバイスと接続プロトコルの統合が進んでおり、一軒の家全体をカバーするエコシステムが実現しつつある。この分野の家電業界全体への寄与は大きなものではないだろうが、各ブランド、OEM、サービス供給事業にとっては追加収入をもたらす魅力的な戦場となるだろう。 より広い視点で世界全体を見てみると、家電マーケットの成長は均衡に達しつつある。過去の成長分野での以前の落ち込みは回復してきたが、新しい市場の成長は少数の成長分野を除いてはスローダウンしている。

Futuresourceの家電担当調査ディレクターSimon Bryantは語っている「先月中国の信用格付けが引き下げられました。今年2回目です。これは増え続ける債務により同国の経済・財政リスクが増大しているとの恐れが広がり、中国の経済的困難が拡大していることを示すものです。中国の乱調は世界のゲームに影響し続けるでしょう」 「家電業界の各企業の見通しは事業プランニングの優劣によって決まってくるでしょう。どの分野に力をいれるか、そして世界のどの地域に戦力を集中するか、この双方における戦略的決定によって生き残れるかどうかが決まり、将来の成功・失敗が決まってきます」

「サムスンは2015年に落ち込みましたが安定してきました。逆に2016年アップルは過去10年で初めての売上減少を報告しています。ほかの主要ブランドはフラットな状態を保っています」 Futuresourceは今後5年で家電業界には新しい分野が台頭してくると見ている。それは、介護・家事支援・インフォテインメントに利用されるロボット及びスマート家電におけるイノベーションである。 Bryantは言う「ソニーのエクスペリア・タッチの機能が示唆しているハイブリッドスマート家電における新しい流れには注意しておくべきでしょう。この分野の家電は多くの応用の主要インターフェースとなる多目的ホームハブとしての可能性を秘めています。将来の家電業界の展望はなかなか困難なものであるように思えますが、的確なアプローチを用いる的確な企業にとっては無限の可能性が開けています」

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