Futuresource Consultingのレポート「Voice Assistants in Consumer Electronics(家電における音声アシスタント)」によると、音声アシスタント(VA)は、複数の市場で数と種類が増加している接続型コンシューマデバイスに統合されており、今後2〜3年で主要ユーザーインターフェイスとして開発される方向に進んでいる。
スマートスピーカーは昨年、全世界で出荷された4,960万台のVAデバイスの半数以上を占めていたが、Amazon、Google、Microsoft、Appleの音声アシスタントをサポートする製品の種類は、メディアストリーマー、コンソール、スマートTV、ウェアラブルなどに拡大されている。
この拡張されたアドレッサブルマーケットを前提に、Futuresourceは、VA市場予測にヘッドフォンとウェアラブルを加え、2021年までにこれらのカテゴリのみが1億台を超えるVA搭載デバイスになると予測している。中でもスマートスピーカーはユニークで、遠距離マイクロフォンをサポートしているため、他のデバイスはコントローラーやヘッドセットが必要であることに対し、真のハンズフリーになっている。Futuresourceは、2018年には遠距離ピックアップをサポートするデバイスが大幅に増加すると考えている。
「2017年は、VAが初めてスマートスピーカーを超えて、他の製品カテゴリに大きな進出を行った年だ。この勢いは2018年に加速すると考えられており、ヘッドフォン、スマートホームハブ、ワイヤレスネットワーク機器、STBなどで一般消費者向けの発売が見込まれている」とFuturesource ConsultingのシニアマーケットアナリストRasika D’Souza氏は述べる。
Amazonは市場での支配力を維持したが、Googleは2017年に進出し2番手の地位を確立した。Futuresourceは、Google Assistantが今後2年でAmazonのAlexaとの差を縮めると考えている。AmazonとGoogleに対する大きな中期的挑戦は、アジアでも登場してきている。中国では、AlibabaやBaiduなどの企業がAIに多額の投資をしており、2017年に支援を受けたサービスで各社最初のデバイスをリリースし、エコシステムを構築している。すでに国内拠点外の市場に製品を送り込んでいる中、NaverとLineも韓国と日本で同様の動きを見せている。
屋内や建物内の複数のデバイス間で統合されたエクスペリエンスを提供する戦略の鍵として、一部のブランドがVAを使用していることは明らかだ。バスルームやキッチン用のスマートソリューションを構成するため、機器をつなぎ合わせるハブとしてVAが機能することは明らかになっている。これは、教育や企業などの他の分野でも同様のことが起きる戦略だとFuturesourceは考えている。
「2018年はVA展開に特に重要な年になる」とFuturesource ConsultingのリサーチディレクターSimon Bryant氏は述べる。「さまざまなエコシステムを統合し、これまであった部屋、セクター、OS、エコシステム間の分断を横断することで、将来のスマートホームプラットフォームに自分たちの基盤を置いている企業にとって戦場になっている。この先12~18か月で勢いを得ることがないVAは、有力製品になることはできないだろう。潜在的なOEMとサービスパートナーは、すでに契約を締結しているプラットフォームに自らの資源を集中させている」。
2027年までに、VAはさらに普及し、スマートホーム構成に組み込まれ、スマートホームを自動化し、消費者の日常生活を管理するためにセンサー、カメラ、コントロールポイント、デバイスと相互機能するとFuturesourceは想定している。Futuresourceによれば、現在スマートフォンやコンピュータで実行するソフトウェアやアプリケーションを選択しているのと同様、デバイスにインストールするVAを選択できるようになるようだ。
音声アシスタントは、コンシューマに新しい(音声)インターフェースを提供するだけではない。VAは電子デバイス用の新しい、主要インターフェースを構築しようとしている。家電の音声アシスタントは、2017年6月リリースのFuturesourceのレポート「Voice Assistant Opportunities in the Home(家庭における音声アシスタンスの機会)」の最新情報になっている。これは、スマートスピーカーやその他のデバイスのVAに関連する新しいデバイス、パートナーシップ、広範な開発の迅速かつ拡大された展開を取り扱っている。