Futuresourceの最新レポート「Dedicated Consumer Video Device Market」では、アクションカメラをはじめとする消費者向け専用動画デバイスの世界需要は、2017年も堅調に推移した事を報告している。アクションカメラに対する需要がスポーツ愛好家だけでなく、最近は一般ユーザーによりもたらされていることを明らかにしている。
これによると、旧来のカムコーダーのほか、アクションカメラ、消費者向け360度カメラを含む全セグメントの世界における出荷台数は1,220万台と、安定して推移した。
「わくわくする動きがみられる消費者向け動画デバイスの市場は、引き続き前年比での増加が見込まれます。その主因は、スリルを求め、冒険をシェアしたいと考える消費者を惹きつけていることで、極端な動きをとらえるのにうまく適した長持ちするデバイスとなっています」とFuturesource ConsultingのシニアマーケットアナリストArun Gill氏は話している。「このデバイスはちょうどいいサイズで耐久性があり、防水ケースがついているほか、衣服やアクセサリーの上に安全に装着できます。ひじょうに脆いスマートフォンではなく、このようなデバイスが選ばれるのには、明確な理由があるのです」
小売価格の下落
Futuresourceによると、2017年のアクションカメラの平均小売価格は約9%下落した。それには様々な理由がある。まず、Amazonなど世界的なeコマースサイトにて、50~100ドルレンジの中国系高性能モデルが数多く利用できるようになったことがある。業界最大手のGoProはカメラ価格を下げてこれに対抗したほか、他の従来型小売店では、このカテゴリーの販売スペースを縮小した。
地域別にみると、2018年はアジア太平洋が出荷台数で世界最大になるとみられている。ここでも価格の下落によりアクションカメラに対する消費者の関心が高まるため、採用が進むとみられる。アジア太平洋地域におけるアクションカメラの世帯保有率は、北アメリカが8%、西ヨーロッパが5%であるのに対し、わずか1%となっている。
手ごろな料金、高い性能から消費者はメリットを感じる
小売価格が下落しているなか、アクションカメラに洗練された機能が追加されることでも消費者はメリットを享受するだろう。これには高速プロセッサ、Wi-Fi機能向上、優れた画像品質と安定性を備えたコンテンツ編集機能が含まれる。さらに、1秒あたり60フレームも4Kの解像度で撮影できるが、これは世界の市場で広く利用されるようになっている。Futuresourceでは、価格の下落と機能の向上が組み合わされることで、新規ユーザーの需要が増加するとみている。
プロをターゲットとする
消費者向けアクションカメラのプロによる世界での採用は、2017年に数量ベースで全体の15%と低い水準にとどまっている。しかしながら、2022年までには世界のアクションカメラ需要の約3分の1になるとみられており、プロ向け市場は劇的な変化が起きるだろう。この市場で鍵となるのは、当局による取り締まりが低水準にとどまることだ。販売増がもたらされる用途は、防犯、テレビ番組制作、車内での利用だ。
360度カメラが克服しなくてはならない課題
市場はまだ揺籃期にあるとはいえ、360度カメラに対する消費者の認知は2017年を通して高まった。GoProの「プレミアムFusion 360」カメラ、Insta360によるスマートフォン装着カメラのローンチにより消費者の関心を集めたほか、Samsungは自社製品を大幅に値下げして販促を行った。
しかしながらこのカテゴリーは、ユーザビリティや画像・動画品質の問題のほか、プレミアムデバイスとしての高い小売価格という複数の課題を克服しなくてはならない。Futuresourceでは、上記の障壁が取り除かれ、プレミアム付きの小売価格が下落すれば、市場の成長につながるとみている。
「ソーシャルメディアプラットフォームを通じた動画シェアリングのトレンドも、アクションカメラ市場を刺激する重要な要素です」とGill氏は続けて述べている。「いまのミレニアル世代にとってはInstagramが最も人気のあるシェアリングプラットフォームですが、ここでは360度の動画がサポートされていません。360度が全てのソーシャル・シェアリングプラットフォームでサポートされるようになれば、この市場は大きく進化するでしょう。360度カメラが直面している課題は相当のものですが、この市場の見通しはそれでも明るいのです」