現在のモバイル技術市場には、明るくて楽しい動きがみられる。特に顕著なのがスマートウォッチのカテゴリーで、そこには多角化とイノベーションがあふれている。スマートウォッチは相当の需要増加が予想されているところ、Futuresource Consultingの「ワールドワイド・ウェアラブルレポート」によると、2018年上半期には数量ベースで47%増加した。
「2018年上半期は、スマートウォッチに新たな関心の目が向けられました。IonicとVersaをローンチしたFitbitは、スマートウェアラブルに対する消費者の需要増を受けて複数の機能を持つデバイスに方向を転じたほか、Samsungも最新スマートウォッチを発表し、Apple Watchに代わるプレミアム版スマートウォッチを世に送り出しました」と、Futuresource Consultingのリサーチアナリスト、Manning Smith氏はコメントしている。「Appleは最近2年で着実に市場シェアを拡大してきましたが、これはApple Watchの成功を物語っています。ただ、競争によりスマートウォッチのモデルアップデートが緩慢だったという事実も関係しています」。
最近になってSamsungがスマートウォッチの発表をしたほか、Apple製品のアップデートが近付いている中で、IFAではウェアラブルのカテゴリーにより大きなフォーカスを当てると見られる。多くのスマートウォッチが展示され、製品アクセサリーにも大きな関心が集まるだろう。年内には、Android Wearスマートウォッチのフラッグシップモデルが発売されるとみられる。それに伴い、消費者はこれまで以上に多くのスマートウォッチを選べるようになり、市場では力の入ったホリデーシーズンがスタートする。
Futuresourceの最新リサーチでは、現代の消費者がスマートウォッチを保有するメリットを受け入れる点を強調している。初めて購入する人が増えるほか、アクティビティトラッカー、スポーツウォッチその他基本的なウェアラブル技術からアップグレードする人が増えている。製品開発の初期段階で発生した問題に対処する製品開発が継続されたこともあり、Futuresourceでは、購買パターンがよりハイエンドなデバイスに向かうとみている。
スマートウォッチの販売増をもたらしているのは、フィットネス、コミュニケーション、生産性向上機能の統合によるものだが、それとは独立したLTE接続により、新たなスマートウォッチの採用が進むとみられている。消費者はスタンドアロンでもデバイスのメリットを享受できるからだ。2018~2019年にかけて、LTEは今後のデバイスにおいてアップグレードされる主要な機能とみられている。世界で利用できるようになったこともあり、2018年の販売台数は539%増加すると予想されている。
「LTEスマートウォッチの成長はまだ黎明期です。しかしながら、これまでの人気をみるとスマートウォッチはスマホの付属品から脱して、単独で保有してもメリットのあるデバイスになるでしょう」と、Manning Smith氏は続けて述べている。「消費者がスマホを自宅に置いておいても構わないというエコシステムが生まれつつあります。その状態でも、私たちが頼りとしている多くのコミュニケーション機能を使えるというメリットがあるのです。音楽ストリーミング、非接触決済、通話とメッセージング、音声による統制などは全て、スタンドアロンのスマートウォッチに追加された主要な機能です。これが世界中の消費者の間で共感を呼んでいるのです」。
年末にかけて多くの有名製品のローンチが予定されているため、スマートウォッチが改めて注目されるようになるだろう。多数のブランド製品の出現により選択にも困らなくなる。消費者にとっての選択が増えるほか、デベロッパーはウェアラブルデバイスの販売増をもたらす可能性のある今後の技術開発動向に一層注目することになるだろう。Futuresourceでは、これから市場競争がますます激化するとみている。製品開発に多額の投資がなされるため、全般的な製品機能も向上していくだろう。