Futuresource Consultingの最新市場レポートによれば、モバイルアプリ市場はここ2年で大きな進化を遂げ、携帯電話用コンテンツの充実や質の向上を促しているのみならず、あらゆるビジネスにおいてターゲット・オーディエンスに接近する新しい活路を開拓してきている。
2011年のアプリ市場は、グローバル総計で約45億ドルに達し、前年の倍近い伸びとなった。ダウンロード数では前年比130%に迫り、無料アプリの増数を反映した目覚しい伸びを見せた。スマートフォンの需要は世界的に加速の一途を辿っていることから、アプリ市場の今後にも継続した成長が期待される。使用されているスマートフォン台数は、2010年の5億7600万台から、2011年末には8億7400万台へと伸びている。更なるビジネスチャンスとなるタブレットPCの需要はより顕著な伸びを見せてはいるが、所有台数の比較においては依然スマートフォンに大きく引き離されている。
Android が台頭してきてはいるものの、引き続き市場を牽引しているのはAppleで、2011年のアプリダウンロード総数のほぼ半数を占めた。ダウンロード数は、2015年までに740億回に達すると見込まれており、これは販売総額160億ドルに相当する。お気に入りの利用回数の多いアプリからなる各人のコア・ライブラリーが一旦確立すれば、購入率は減少するであろう。
2012年3月現在、全プラットフォームで利用可能なアプリは約120万存在すると推定されている。今、誰もが精力を傾注しているのはアプリの収益化で、有料ダウンロード、課金システム、広告料から収入を得るビジネスモデルは進化し続けてはいるが、コンテンツとその開発費にかなりの投資を行っているパブリシャーにとっては、有料ダウンロードが唯一のオプションと言える。短期間の価格キャンペーンを行っているケースも多く、低価格で関心を引き、「ランキング・トップ」に上り詰めることで宣伝力を増し、その結果ダウンロード数の増加へと繋げている。
多くの企業やブランドにとって、アプリは重要なマーケティング・ツールで、ウェブサイトやオンライン・サービスへのアクセスを広める手段としても使われている。 2012年の動向としては、個人をターゲットにしたアプリに加え、企業をターゲットにした専門的分野でのアプリが市場に出回ると思われる。
ユーザー数が多いという理由で、広告主は引き続きAppleとAndroidプラットフォームに焦点を絞るであろう。2011年末では、5億台以上のAppleとAndroidデバイスが使用されていた。一番人気はゲーム・アプリで、ゲームの金額シェアは約50%であった。既に人気のアプリを持つゲーム・パブリッシャーは、アプリのフランチャイズ拡張を継続して行い、専門分野を扱ったパブリシャーは、「アングリーバード」の成功に続くフランチャイズ提供を狙っている。
ゲーム・パブリッシャーにとって、タブレットPCが、既に次なる大きなビジネスチャンスとなってはいるが、従来のパッケージ・ゲームに比べ低価格であるアプリは、多くの場合マージンが低く設定されており、ゲーム業界全体として開発コストを安価に抑えることが必須と言える。