中国のインタラクティブディスプレイ市場は引き続き堅調な伸びを示し、昨年の販売台数は130万台に迫ったと、Futuresource Consultingが新たに発表したGlobal Interactive Displaysレポートで報告されている。
「インタラクティブディスプレイ市場は、過去10年間に驚異的なペースで成長しました。当初は主に、米国、イギリス、オランダといった西側諸国の市場で需要が見られました。しかし、今や中国が圧倒的に世界最大の市場となっており、昨年の販売台数は15%の伸びを記録しました」と、Futuresource Consultingでシニアマーケットアナリストを務めるColin Messenger氏は話す。
現在インタラクティブディスプレイは、ほぼ幼稚園から高等学校 (K-12)限定で使用されており、中国ではここ何年間の活発な伸びによって、教室での普及率は政府目標の80%を超えている。販売台数の伸びは、農村地域における教育環境を改善し、都市部と農村部における教育格差を縮小させるという、中国政府の改革・開発計画によるところが大きい。Futuresourceでは、この結果として2019年末までに、中国国内の89%の教室にインタラクティブディスプレイが設置されると予測する一方で、この高い普及率が原因で、教育分野向けの年間売上高が、年率6%程度下落し始めることを見込んでいる。さらに、ディスプレイ・ハードウェアからデジタル学習ソフトウェアやコンテンツへの投資対象のシフトが見られる。
「このことによって、中国のインタラクティブディスプレイ製造業者に破滅が迫っているということではありません。教育分野からの需要が衰え始める一方で、中国ベンダーは大手パネル供給事業者と協力して、機会の開発を進めることによって、企業向け市場は拡大しつつあります。パネル供給事業者の多くは、政府や企業と密接な関係を持っており、新製品の需要を生み出すことに長けています」と、Messengerはコメントする。
会議室におけるインタラクティブディスプレイの需要は、関連する複数のトレンドによって支えられている。ワークスペースにおけるコラボレーションツールに対する需要増、遠隔コミュニケーションをサポートするビデオプラットフォームの普及拡大、従来の大型会議室的環境から、フレキシブルな小型チームワークスペースへの会議スペースデザインの変化といったことが、企業部門におけるインタラクティブディスプレイ*ソリューションの需要喚起にそれぞれ一役買っている。
さらに、企業会議スペースにおける実現可能な市場規模はK-12教室向けよりも大きく、現在はごくわずかしか普及していない。「私たちは、企業向け市場が年率40%近くで成長することによって、教育分野における減少が相殺されると予測しています。このような市場の垂直的な変化が、私たちの予測期間である2023年まで、さらにそれ以降における全体的な需要の安定推移に寄与するでしょう」とMessenger氏は言う。