Futuresource Consultingの新たな業界レポートによると、ウェアラブルテックが加速を続けているという。コネクテッドデバイスのエコシステムを築き、消費者の関心を集めており、2023年までに1080億ドル規模に達するとしている。
「ウェアラブルテックがCE(コンシューマエレクトロニクス)の人気を独占しているのは間違いありません」と、Futuresource Consultingでリサーチアナリストを務めるStephen Mears氏は言う。「CE市場を広範に見ると全般的に停滞しているのに対し、ウェアラブルは成長期にあります。2017年の小売額が225億ドルであったことから、2019年は500億ドル近くになると予想しており、同カテゴリは伸び続けて2023年にはすべてのCE収益の約10%を占めるようになるとみています。これは大したことです」
多数ある機能が革新と競争に押されてますます増える中、ウェアラブルはポケットに入れるものではなく、手首につけたり耳に入れたりするものになりつつある。Appleはウェアラブル業界を有効に活用できる絶妙な位置にあり、この動きは5年前にBeatsを買収し高級オーディオ市場に足を踏み入れた時に始まった。より長期にわたるNikeとのパートナーシップも重要性を増しているが、Appleが重点を置いているのは独自のエコシステム構築である。一方でSamsungは多数の主要カテゴリでしっかりと足場を固め広範なプライスポイント戦略で取引量を増やしており、GoogleはFitbitを買収していることからウェアラブルやヘルスメトリックスの流れを利用したいとみられる。
現在の成長の中心にあるのは、スマートウォッチ、ワイヤレスウォッチ、ウェアラブルスマートフォンといったコネクテッドウォッチ部門である。子供向けのキッズウォッチも新たに台頭しつつあるカテゴリで、世界的な伸びを見せる態勢が整っている。同カテゴリはすでに中国では地位を確立しており、Futuresourceは、特にVerizon、T-Mobile、Vodafoneといった通信事業者が製品の市場参入を狙ってキッズウォッチベンダーとパートナーを結んでいることから、欧米市場でも近いうちに人気を集めるものと予想している。
スマートウォッチが、消費者へのアピール力が強いデバイスの広範かつ多様な機能により、フォーキャスト期間を通して主要なウェアラブルカテゴリとしての地位を保つとみられる。実際のところもっとも売れている製品は、デバイスを特徴付ける単一のユースケースに依存しない製品だ。マルチ機能は製品がヒットする大きな要因になりつつあり、いまやベンダーはユーザエクスペリエンスやユーザユーティリティ(ユーザ効用)といった面で製品の差別化をはかっている。
主要な中期トレンドとしては、中国を除くアジア太平洋地域への需要の地理的な移動があり、Futuresourceは、2023年までに40%増加し世界に占める割合が20%になると予想している。この成長の大部分は中国のシェアの低下という犠牲を伴うもので、中国は広範に見るAPAC地域から後れを取るとみられている。
「今後は、世界全体で機能群が、主要ベンダー間に限らず製品カテゴリ自体の間においても競争を突き動かしていくと予想しています」とMears氏は言う。「短期的にみた場合のウェアラブルデバイスの必須機能は引き続きフィットネストラッキングで、フィットネスデバイス、コネクテッドウォッチ、手首装着型モバイルフォン、ヒアラブル、これらすべてが消費者の関心を求めて競い合うことになります。今後の課題は、一つ上のレベルへと革新を推し進め新たなユースケースを生み出す、競争力ある製品を作ることです」