世界コンシューマーエレクトロニクス(CE)市場は2019年、金額にして30億ドル強増加し、世界全体の貿易額は6,830億ドルに達した。CE製品カテゴリー全体の出荷台数は、世界全体で約44億台となり、前年比2.7%の伸びを示した。
「各企業は、コネクテッドCE製品を中心としたビジネス展開の機会を最大化するべく、有利なポジションの獲得を目指して戦略を練っている」と、Futuresource Consultingの主任テクノロジーアナリストであるSimon Forrest氏は言う。「企業が直面する問題には、成長余地の限られた従来型製品の影響緩和、着実に進展するハードウェアのコモディティ化への適応、さらにより重要なことだが、従来型CE産業からの消費者離れを起こしつつあるソフトウェアのみのプラットフォームやオンラインサービスによる競争上の脅威を相殺すること等が挙げられる。企業は、各製品が連携して動作するようになっており、それによって消費者にベンダー固有のエコシステムへの投資へと誘引するよう設計されたコネクテッド製品のポートフォリオを提示する動きが明らかになってきています。」
特に、製品サポートでは、ベンダーが取り組まなければならない問題が拡大している。Forrest氏はこう注意喚起をする。「コネクテッドCE製品は、もはや『売ったら忘れる』ものではない。すでに市場に出回っている製品について、ソフトウェア更新を最新にしたり、耐用年数価値を保証したりするという困難が存在する。顧客を疎外したり、ブランド価値を毀損させることなく、サポートを終了する最適なタイミングを見つけるというのは、敏感な命題なのだ」
製品カテゴリーの中では、ヘッドフォン、ウェアラブル、スマートホームが2019年全体を通して最も力強い金額の伸びを記録した。他の全カテゴリーでは金額が縮小し、特にイメージング/カメラおよびビデオゲームはパーセンテージにして2桁の減少を示した。一方で、2019年のブランド情勢の変化はほとんどなく、各製品カテゴリーにおける上位3ブランドの大半が、強い市場シェアを維持している。
2019年はコンシューマーエレクトロニクス業界にとって好調な年だったが、2020年の新型コロナ感染症パンデミックのため見通しは大きく変わった。「テレビやノートPCなど一部のカテゴリーは、ロックダウンに対する消費者の反応を受けて、2020年上半期は好調に推移した」とForrest氏は話す。「しかし、多くの場合、この動きは下半期の売上を前倒ししたものと予測されており、下半期には経済的な影響を受ける可能性が高い」。新型コロナ感染症は、昨年12月に発表された新型コロナ感染症以前の予測と比較すると、2020年のCE貿易額全体から880億ドルを消失させた。パンデミックは消費者の信頼感を損ない、世界のサプライチェーンを混乱させた。CE市場全体の動揺は数ヶ月間は続くとみられ、2021年の貿易額も前回予測と比較すると世界全体でさらに660億ドル減少するとの分析結果が出ている。「とはいえ、市場は回復力を示しており、当社では来年には成長軌道に戻り、2022年第4四半期までには新型コロナ感染症以前の水準までほぼ回復すると予測している」とForrest氏は説明している。
地域経済の不確実性や景気後退が差し迫っている状況下でも、コンシューマーエレクトロニクス市場の長期的な見通しは依然として明るい。2024年には、市場価値は20%増加し、世界全体で年間52億台の出荷が見込まれており、これらの製品は世界全体で貿易額を1,210億ドル増加させると予測されている。