MicroLEDは、家庭用テレビで液晶や有機LEDに取って代わろうとしている。Futuresource Consultingの最新MicroLEDレポートによれば、全世界の企業は、同技術に今後数年間100憶ドル以上を投資し、次の10年間に累積500憶ドル超の市場チャンスを創出すると見ている。
業務用ディスプレイ分野のあらゆる面に関して、この事業分野に25年以上の助言経験を持つ市場調査会社Futuresourceでは、 MicroLEDの破壊的技術で驚異的な旅が始まると予想している。
「MircoLEDは、家電/業務用AV業界の目標に向けて直進しており、全ての利害関係者団体には大きな影響力があるだろう」とFuturesource Consultingのディレクター、Chris McIntyre-Brown氏は説明する。「メーカー、サプライヤ、ブランドからリセーラ―、チャンネルパートナー、エンドユーザーに至るまで、MicroLEDが市場を中長期で席巻し始めるのを目撃するだろう。」
MicroLEDが市場支配する前の課題
一方、Futuresourceの業務用ディスプレイチームは、MicroLEDが家電主流の座を確保するまでには直面するハードルがまだたくさんあることを明らかにしている。特に、この技術が市場の許容範囲価格で家庭用テレビに組み込まれるまでに重要な製造ステップを完成させる必要がある。
今日まで、メーカーは歩留まりの最適化、十分な量の安定供給に躍起になっており、入手が限られている上、高価である。しかし、何十億ドルもの投資で、製造プロセスと装置に極めて良い影響が見込まれている。この二つはMicroLEDの市場支配に不可欠だ。
McIntyre-Brown氏は「当社の最新調査では、Samsung、Leyard、Foxconnが、MicroLED の製造エコシステム作成のリーダー企業として突出している。これらの企業は、最も総合的な協力関係があり、当社は、家電市場への早期参入を予想している。Apple、BOE、LG、Sonyなど、他の世界的家電/業務用AV市場のリーダー企業も家電市場のチャンスを追いかけている」と、コメントしている。
家電ブランドへの影響
Futuresourceのレポートでは、 MicroLEDに対応できる既存家電メーカーがMicroLEDテレビ分野で際立った有意性をどう持つかを示している。それは、各社の洗練されたインターフェース、プロトコル、標準を使った知識と経験による。例えば、ビデオ信号、ノイズ除去、コントラスト/色彩最適化には高度な統合プロセッサが必要となる。
さらに、アップスケーリング、簡単なウィンドウイング、WebOS、ユニバーサルリモート操作、音声制御、そしてボイスアシスタントやコンテンツ提供業者とのインターフェースなど、考慮すべき機能もある。
このリストには続きがある。 MicroLED家電テレビは、高度なビデオ、オーディオ、相互接続プロトコルとの互換性が必要で、相互接続性と後方互換性の検証も必要だ。さらにテレビチューナーに対する要件がある。これは幅広い課題だが、家電メーカーは取り組む体制が整っている。
家電分野での革新的なMicroLEDのチャンス
競争の激しい家電分野において、消費者のハートと財布を鷲掴みにする重要なステップは、単独のフォームファクターへの部品数点の一体化である。液晶、有機LED、LEDの能力を遥かに超えて、組み合わせとイノベーションを行う多くのチャンスがMicroLEDにはある。
イノベーションの多くは、ピクセル間で利用可能なスペースが中心で、幅広い付加機能のため利用できるだろう。カメラとマイクをスクリーンに直接組み込み、高度なビデオ通信機能や動きやタッチによるインタラクティブ機能を促進する可能性がある。多孔のディスプレイは、高度に統合されたスピーカーアレイや新しいオーディオが利用できる。さらに美的観点からは、この付加価値技術は、極薄超軽量の高度なフォームファクターに組み込むことが可能だ。
MicroLEDの将来
「MicroLEDが量販品消費者に現実的になるには、多くのことが必要だが、既に業界は正しい方向に踏み出し、本格化している」とMcIntyre-Brown氏は言う。「この技術も半導体技術と製造専門知識のある強力な新興企業に市場を支配する門戸を与え、エコシステム内にうらやましい状況を作り上げている。そして、ゲームを演じる中、中国LEDをディスプレイ市場主導権から退かせ、他のブランドは思いのまま儲かる市場メリットを探ることができる。」