市場調査会社Futuresource Consultingが新たな報告書で、今年の国際出荷量が14%上昇すると予想しているように、第2次市場のヘッドフォンに対する消費者需要が引き続き強勢を見せている。専門家の調査チームは、小売価格が15%上昇し、業績は年末までに1500億ドルになると見込んでおり、さらに好調な収益業績を予想している。
Futuresource ConsultingのシニアアナリストSaran Mathivananは、「2021年上半期に市場の回復が見られました」と述べている。「都市封鎖が緩和され始め、ワクチン接種の取り組みが進められ、消費者が再びお金を使うようになりました。また、在宅勤務や遠隔と対面を織り交ぜた学習方法への切り替えによって、多くの人が優先的にヘッドフォンの購入を考えました。」
トゥルーワイヤレスの伸びが継続
「トゥルーワイヤレスは引き続き、不動の優位性を保っています。上半期の全体の半分以上を占めています。このフォームファクタはファッション性と機能性、利便性を兼ね備え、応用範囲が広いため、消費者の生活の一部となっています。その結果、当社の数値では、今年のトゥルーワイヤレスステレオ(TWS)の市場の伸びは37%となっています。このまま行けば、TWSは、当社の予想期間を通して売買市場を支配し、他のフォームファクタに取って代わることになるでしょう。」
チップの課題とサプライチェーン問題
ヘッドフォン市場は活況だが、今年、問題が引き起こす負担の偏りに悩まされてきた。流通経路にサプライチェーン問題が広がったことで、利益が縮小し、商品の発表が混乱した。アジア太平洋(APAC)地域の貨物物流の課題やチップ不足、コスト急上昇が重なって、市場関係者に影響を及ぼしている。製造業者は小規模業者よりも知名度の高いブランドとの契約義務を重視するため、チップ不足は小規模業者に打撃を与え、特にホワイトラベル市場ではその影響は大きい。
Futuresource Consultingの有名なAudio Collaborativeのイベントが、世界的なチップ不足とサプライチェーン問題を詳細に扱ったリサーチアナリストChris Bull氏の発表を特集した。こちらからオンデマンドで全編視聴可能。
APACは他での業績が好調なため、優位性を保持
しかし、Futuresourceの専門家は世界のほぼ全域で年末までに業績が伸び、2019年と2020年の業績を超えると予想している。APACは市場のリーダーとしてその地位を保ち、世界的に大きなシェアを持つことになるだろう。西欧、東欧、中東・北アフリカ(META)、ラテンアメリカ(LATAM)は全て2桁成長を記録する見込みだ。ただし、2021年の北米市場は、小規模市場の後退やAppleの製品リニューアルがなかったことで停滞するだろう。
この先の見通しとして、Futuresourceによれば、ヘッドフォンの取引量は引き続き世界全体で増加する見込みだ。2021年から2025年の間の出荷量は増加し、年平均成長率は10%となるだろう。TWSの成長はその2倍以上で、強勢を牽引することになる。予想期間中、時間の経過とともに、アクティブノイズキャンセリングや音声アシスタント、ロスレスオーディオが主力となっていくだろう。
「ステップアップーより高品質なオーディオへの道のり」と並んで、「ヘッドフォンとヒアラブル・メガ・コンバージェンスに次に何が起きるか」をセッションテーマとして、FuturesourceによるAudio Collaborativeのイベントがこの11月に行われた。Qualcomm、MQA、DSP Concepts、Jabra、Knowlesなど、多くのゲストスピーカーが登場している。セッション全体がオンデマンドで視聴可能となった。