Futuresource Consultingの新たなレポートによると、チップ不足の広がりやより広範な供給サイドの問題にもかかわらず、世界のウェアラブル市場は年末に数量ベースで前年比27%の成長を達成し、高水準で2021年を終えると予測されている。
Futuresource Consultingの上級市場アナリスト、ガイ・ハメット氏は、「ウェアラブルは、消費の波のトップに乗り続けています。このカテゴリーは幅広い社会経済層から支持を集めています。多くの人々にとってライフスタイルの選択肢となっており、その広がりはとどまるところを知りません。また、パンデミックによって健康とフィットネスに対する人々の意識が高まり、その勢いはさらに加速しているというのが業界の一般的な見方です」と話す。
ヒアラブルの台頭
ヒアラブルが引き続きウェアラブルの主流となっている。Futuresourceは、この分野が今年の市場総出荷数の63.5%を占め、True Wirelessが牽引役となると予測している。
「True Wirelessは、単独で何億人もの人々がヘッドホン・アフターマーケットに参入できる扉を開いたのです。また、消費者がヘッドホンに支払っても良いと思う価格も劇的に上昇させました」とハメット氏は話す。
ヒアラブルの主な用途は現在オーディオ再生だが、耳は多くの生体測定において、手首に代わる魅力的な選択肢となる。Futuresourceは、期間中に耳装着型の健康・フィットネス・トラッキングがますます一般的になると予想しているが、これは代替デバイスではなく、手首型ウェアラブルと連動する可能性が高いと考えられる。
ヒアラブルの先にあるウェアラブルの世界
ヒアラブル分野以外では、スマートウォッチ、スポーツウォッチ、ワイヤレス・ウォッチ、ウェアラブル・スマートフォンなどの伸びが顕著だ。
Futuresourceは、全体として2021年の手首装着型ウェアラブル市場の出荷台数は12.2%の成長を達成すると予測している。腕時計型ウェアラブルではスマートウォッチが1位を占めているが、ウェアラブル・スマートフォンが最も大きな成長率を示している。キッズ向けスマートウォッチを中心に、個人向け時計や汎用ウェアラブル・スマートフォンが含まれ、同部門は出荷台数ベースで25％拡大する見込みだ。
スマートウォッチに医療グレードの技術を導入
Futuresourceによると、スマートウォッチは手首に装着するタイプのウェアラブル製品でトップの座を維持しており、今年の出荷台数は全体の43.5％を占める見込みだ。同調査会社は、この数字が2025年までに全携帯型端末の出荷台数の半数以上に達すると予想している。
「スマートウォッチはますます洗練されてきています。ベンダーは、これまで以上に正確なトラッキングを提供し、機械学習アルゴリズムを採用して、消費者のために有用で実用的なフィードバックを豊富に掘り起こしています。大手のスマートウォッチは医療グレードの心電図を備えており、ウェアラブルのインストールベースが拡大し、収集されるデータ量が急増していくにつれて、アルゴリズムはますます賢くなるでしょう。
今後は、血圧計に匹敵する精度で血圧を連続的に測定できる機器が登場することでしょう。多くのベンダーは、今後数年のうちに、非侵襲的な連続血糖値モニターを機能として搭載することも視野に入れています」とハメット氏は言う。
VRの新たな夜明け？
今年は、VRにも出番があった。メタ社のOculus Quest 2は、これまでの非モバイル型VRヘッドマウント・ディスプレイの中で最も多くのユニットを出荷し、ブレイク商品であると証明した。メタバースはおそらく現在技術界で最もホットな話題であり、この市場はようやくペースを上げていく準備が整ったようだ。
Futuresourceは、2021年のHMD市場の出荷台数は38%の成長を達成し2,500万台に達すると予想している。
ブランドについて
ブランド別ではAppleが引き続きトップランナーであり、今年のウェアラブル製品の出荷台数のほぼ4台に1台を占める勢いである。スマートウォッチとヒアラブルの分野で圧倒的な強さを誇るAppleは、ウェアラブルのライバルであるXiaomi、Huawei、Samsungに対してうらやましいほどのリードを築いている。
ウェアラブルの価値ある未来
Futuresourceは、今年の数量ベースの成長により、小売の世界市場規模は760億ドルに達すると予想している。今後も成長が続き、2021年から2025年にかけて年平均成長率19.4%を達成し、期間終了時には年間売上高1530億ドルに達すると予想されている。