アメリカと西ヨーロッパでは、1年前は53%のオフィスが営業していたのに対し、現在その割合は73%となっている。しかし、フルタイムでオフィス勤務している従業員は9%だけである。これらはFuturesource Consultingが実施した新しい在宅ワーク調査(Home Working Survey)による数字だ。この調査は、ハイブリッドワーキングの影響と、それがいかにテクノロジーの革新と採用を様変わりさせているかを探っている。
この調査では、アメリカと西ヨーロッパの1500人以上の従業員を対象に2022年2月に聞き取りを行っている。その結果が示すところでは、従業員は在宅ワークをより快適で効果的にするための設備への投資に以前より意欲を持っている。さらに、雇用者は照明やヘッドセットといったリモートワークを改善するための設備の種類に対してより意識的になっており、そういった製品に対する投資をより正当化する傾向にあるようだ。
ハイブリッドワーキングに関係するのはもはや在宅ワークだけではない
「未来の働き方がより鮮明になってきている」と言うのはFuturesource Consultingの Head of CollaborationであるAlistair Johnstonだ。「昨年2月の調査と比較すると、長期的に少なくとも部分的にはリモートワークを採用することになると想定する人が多くなっている」
「また、より多様な場所が使われ始めていることも分かる。もはや在宅勤務かオフィス勤務かの二者択一ではない。41%の従業員は定期的にカフェや図書館やコワーキングプレイスのような場所で仕事をしている。これは、景色を変えたい、良いWi-Fiにアクセスしたい、気を散らす物から離れた時間が欲しいといった理由からだという。こういった場所はまた、日中に対面でやり取りする必要を満たすのにも好都合だ。以前ならそういった目的はオフィス環境が果たしていた」
消費者チャネルが影響力を持つ
サプライチェーンにおいて消費者志向の小売チャネルが以前より大きな部分を占めるようになってきている。最終的に会社が設備の費用を支払っている場合でも、多くのケースで従業員が製品を選択し購入している。しかし、ラップトップPCのような比較的高価な備品の場合、雇用者は値引きを利用したりコントロールをより行使したりすることが多い。
会社のデバイスと個人のデバイスの境界線が曖昧に
「仕事場用のテクノロジーと消費者用のテクノロジーの境界線がさらに曖昧になってきており、在宅ワーク用の備品が仕事以外の目的に使われている。3人中1人以上がコンピューターを個人的な管理に使っている。一方、スマートフォンは動画の視聴、音楽鑑賞、個人的な管理に使っている人が多い。オフィスヘッドセットは仕事以外で使われることが最も少ない製品だ」
デバイスの美的側面もより重要になってきている。多くのケースで、これらの製品はホームオフィス専用の空間だけで使われるのではなく一般の家庭空間に入ってきている。Futuresourceの調査では、デザインと見た目の必要性は平均を超えるレーティングを得ている。デバイスは家庭の環境に溶け込まなければならないからだ。さらに、回答者の37%がデザインは極めて重要だと答えている。
VRとメタバースの隆盛
10人中8人以上の回答者がバーチャルリアリティー(VR)について聞いたことがあると答えており、ほとんどの従業員はVRになじみがあるようだ。仕事場での使用に対するアピールも強い。VRを知っている回答者の3人中2人近くが、仕事で使用することに興味を示してもいる。回答者全体だと約半数がそのように回答している。
「VRの受け入れに関しては、年齢に依存した確かな傾向がある」とJohnstonは言う。「VRに関心がある人数は、Z世代とミレニアル世代では上の世代の2倍近くとなっている」
「ヘッドセット着用の必要も障害にはなっていないようだ。回答者の89%が着用しても構わないと答えている。同僚との連絡や意思疎通が在宅ワークにおいて改善すべき主な部分として挙げられているため、没入感やつながっている感覚が向上するという利点がヘッドセットのアピールを増している可能性がある。メタバースの継続的な進化は、リモートワークに由来する社会的孤立をある程度和らげるような方向に進むかもしれない」