フューチャーソース・コンサルティング 最新市場 分析レポート

Vol. 244

2021年、ヨーロッパのコンバージェントカメラ市場が1億6400万ユーロの売上を達成

2022年05月31日

コンバージェントカメラとは、デジタル一眼レフであり、ミラーレス、かつ「動画撮影を最優先」にしたプロの動画撮影用に使用されるカメラであるが、そのコンバージェントカメラが2021年に1億636万ユーロの売上を達成した。この情報はフューチャーソース・コンサルティングが発表したプロ動画撮影に係る新しいレポートによるもので、さらにコンバージェントカメラとプロ仕様のカムコーダーを同梱して発送したケースが2018年から2021年の間に6%上昇していることも明らかになった。

デジタル一眼レフカメラ市場の転換

レンズ交換式デジタル一眼レフカメラとミラーレスカメラは主にスチール撮影をする人たちを念頭にデザインされていたが、2000年代後半に動画撮影機能が導入されてその景色が変わった。経験豊富な映像作家やまた学生たちも、デジタルの映画撮影用カメラよりもはるかに安い金額で映画のような映像を撮影できる機会を得たのだ。

「多くの業界のベテランたちが、2008年のキャノン 5D Mark II の発売が現在の一眼レフカメラの革命を引き起こしたきっかけだったと指摘しています」と、フューチャーソース・コンサルティングのプロビデオ部門トップを務めるクリス・エバンス氏は話す。「これらのカメラを懐疑的な目でみるプロフェッショナルたちもいましたが、今は当たり前のように使われるようになりました」

「確かに最初のうちは生産パイプライン上で従来にない面倒な取り扱いが必要なこともありましたが、これら初期の技術的問題は克服されて受け入れられたのです」

コンバージェントカメラの進化

フューチャーソースはコンバージェントカメラのトレンドの進化と成熟には3つの異なる波が存在するという。1つ目は、偶然による躍進だ。 動画撮影機能は差別化要因として搭載されて価値ある特徴となったが、この革新が急速にプロの動画撮影者たちのフィールドを変えたのだ。

2つ目の波は、ログ撮影用のカラープロファイルやフォーカスキーピングなど、プロ仕様のコーデックや機能を意識的に取り入れたことだ。

3つ目の波であり最大の波でもあるのが、完全に新しいカテゴリに属するカメラが出現したことだ。動画撮影最優先のコンバージェントデバイスであり、ブラックマジックデザインのポケット・シネマ・カメラのラインナップがその最たる例である。

第3の波の改革

「これら第3の波の製品は、コンバージェントカメラのユーザーたちから好まれるミラーレスカメラの形状に寄せてつくられています」と、エバンス氏は話す。「しかし、これらの製品は初めからプロの動画撮影者たちに購入してもらうことも念頭に置いてデザインされています。スチール写真は後回しにされて、ボタンの位置やユーザーインターフェースに至るまで動画撮影の仕様が全面に押し出されています」

「ブラックマジックのポケット・シネマ・カメラ4K が2018年に発売されたことが、コンバージェントカメラ市場の転換点となっています。現在メーカーは R&D チームに力を入れていて、この分野の価格を上げています。さらに高機能な動画撮影最優先のデバイスが高価格で販売されているのです。ブラックマジックデザインのポケット・シネマ・カメラ6K、6Kプロ、パナソニックのDC-BS1H、そして直近ではキャノンのEOS R5 C が立て続けにリリースされたことで、この市場は明らかに上向きの道を辿るでしょう」

将来の技術・行動の牽引役となる存在

フューチャーソースは、プロ動画撮影仕様のコンバージェントカメラのヨーロッパにおける売上は2023年にピークを迎えると予想している。市場は飽和状態へと向かい始めて、高品質のスマートフォンの影響が市場の隅で見られるようになるだろう。

フューチャーソースのヨーロッパレポートでは市場の戦略的分析を提供している。アクションカメラ、スマートフォン、動画撮影ドローンなど消費者の購入に他の選択肢があることも考慮にいれながら、デジタル一眼レフ、ミラーレスカメラ、ヨーロッパでプロ動画撮影者向けに販売されている「動画撮影最優先」のデバイスに関する数字を検証している。総合的価値、ユーザー基盤、プロ仕様のカムコーダー市場がどれだけ影響を受けるかなどの観点を、今後5年間に変化するだろう技術・行動の牽引役となる存在も併せて評価している。