Futuresource Consultingの「ビデオウォール市場レポート(120ページ強)」によれば、ビデオウォール業界は新たな成長期を迎えている。2012年の世界出荷台数は38万台に達し、対前年比60%の成長率となる見込みである。
「比較的成熟していた業界に、新たな技術が息吹を吹き込んだ。」と市場アナリストのパームジット・バンガル(Parmjit Bhangal)は語る。リアプロジェクションディスプレイには、2009年以降、電球のメンテナンスが不要なLEDバックライトが使われてきたが、「Super Narrow Bezel (SNB)」と称す超狭縁のLCDディスプレイの登場で市場は様変わりしている。リアプロジェクションとプラズマに加わった新たな選択肢は、新市場でのビジネスチャンスを生み出しており、とりわけ公共の掲示板としてのディスプレイに注目が集まっている。
展示会のフロアを埋め尽くし、プレスの関心を集めているこの先進技術は、業界に大きな旋風を巻き起こしており、売り上げに繋がる好スタートを切っている。2011年のSNB 対前年成長率は100%強に及び、ビデオウォール総市場の80%強を占めた。
リアプロジェクションモデルは、SNBと競合しながらも、2015年以降に及んでも着実な成長を続けると予測される。その背景には「ソリッドステート技術(固体だけによる発光技術)」の発表がある。2011年のリアプロジェクション世界出荷台数ではLEDが40%を占めた。電球の占める割合が大きい中国市場を統計から除けば、LEDのシェアはこれ以上の数字であった。
ビデオウォールの4大市場は下記の通り。
- 「コントロールルーム」はリアプロジェクションにとって重要な市場である。2011年のリアプロジェクション世界市場ではコントロールルームでの利用が85%強を占めた。SNBの需要も増してきている。ディスプレイ技術の優位は用途によって異なっている。高熱費等の公益事業や消防等の管理システムにはリアプロジェクションが好まれ、ビデオベースのアプリケーションが使われる防犯監視や交通管理システムにはSNB が好まれている。
- 「 公共の掲示板」はSNBの独占市場で、2011年SNB出荷の大半はこの分野であった。デジタルサイネージが成長を促しており、ネットワークオーナーは、情報の提供や交換、そして宣伝の為にインパクトのあるディスプレイを欲している。店頭及び交通機関でのディスプレイが鍵を握る。
- 「法人 & 展示会」でリアプロジェクションの成長が伺えるも、独占的なのは明らかにSNB技術である。受付・ロビー・会議室・展示会はどれも重要な分野である。
- 「放送」業界では、リアプロジェクションとSNB が共存している。リアプロジェクションの需要は、先進国よりもアジア太平洋側の地域に偏っている。
市場展開のダイナミズムは国によって著しく異なる。どちらのディスプレイ技術にとっても、インフラ整備への投資が市場の火付け役となる。今後3年にわたり二桁台の力強い伸びが予測されており、2015年の出荷台数は100万台に近づくと思われる。しかしながら、主要家電メーカー及びプロAVディスプレイメーカーが力を増してくれば量産が進み、ビデオウォール市場全体の価格競争に影響を及ぼすと思われる。
引き続き市場をリードするのは、中国と米国であろうが、ここ3年で市場価値を増すのはインド・ロシア・ブラジル市場と思われる。各国の動向に注目してゆきたい。
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