By Simon Bryant, Head of Consumer Electronics, Futuresource Consulting
コネクティビティ(ネットワーク接続)は家電製品全般において標準機能となってきており、自宅や外出先でのコンテンツへのアクセス形態に大きな変化が現れている。TVやBlu-rayプレーヤーといった従来型AVデバイスのコネクティビティに加え、グローバルに需要が急増しているのは、スマートフォンやタブレットPCである。2012年末のコネクテッドデバイス利用台数は30億台に近づき、2016年には57億台になるとFuturesource Consultingは予測している。
コネクテッドデバイス所有者数の伸びは、先進国に限ってのことではなく、一部の新興国市場では、より成熟した市場よりも高い成長率となっている製品もある。かなり低い所有率からの成長ではあるものの、この例としてあげられるのが、ブラジルやインドにおけるタブレットPCやスマートフォンである。中国では、映画の無料オンライン視聴に刺激されスマートTVが高成長を続けており、米国の需要を上回っている。米国では、主要エンターテイメント ケーブルTV プロバイダがインターネットを視野に入れたビジネス戦略を再考している。
スマートフォン・タブレットPC・パソコンと並び、マルチプラットフォーム デバイスとして業界の話題を集めているのはスマートTVで、家庭におけるコンテンツ への主要アクセス デバイスとしてのTVのあり方が、家電メーカーのビジネス戦略を立てる上での焦点となってきている。各社は、原価と売値との差が減少し続けているTV市場において、ソフトウエアによる他社との差別化、コンテンツ 利用料金による収益持続、より強いブランドロイヤルティ(忠誠心)の確立をスマートTVで図ろうとしている。ワイヤレス(Wireless–N) 搭載は標準となっており、より魅力的なコンテンツが追加されてきていることから、スマートTVのインターネット接続率は50%に近づいており、右肩上がりを続けている。しかしながら、現在、コンテンツの殆どは無料もしくは広告料に支えられており、ハードウエア サプライヤーは依然確固たる収入源を見出すことに苦戦している。
スマートTVの技術革新を牽引することでメーカーシェアの伸びと高価格維持を実証しているのはサムスンで、エコシステム構築に向けたアプリケーションやコンテンツの導入も図られ、サムスンの独占市場は続くと思われる。
世界のスマートフォン市場に目を向けると、その強い伸びは継続しており、約4億8,000万台であった2011年の出荷台数から、2012年には40%の成長率となる見込みである。スマートフォンは、幅広い利用者層での日用必需品となってきており、数カ国の先進市場においては、2012年の総人口に占める所有率は50%を超え、英国においては約70%となった。オペレーティング システムとしては、GoogleのAndroid OSが急速な成長を続けており、過去3年のスマートフォン市場全体の強い動きに貢献している。Android OSは、 2012年末スマートフォン市場の60%以上を占め、対2011年比46%の成長となる見込みである。一方で、Apple iPhoneの継続的な伸びも引き続き市場に影響を及ぼしている。
タブレットPCは、2010年以降目を見張る成長を続けており、2012年の世界出荷台数は1億1,000万台をはるかに上回ると予測している。2016年までに米国では消費者の約40%がタブレットPCを所有し、僅差で英国が続くと思われる。
昨今のタブレットPC利用のトレンドとしては、メディア利用が多く、コンテンツ やゲームの制作者/販売者、pay-TVプロバイダや放送局といったビジネスに大きな付加価値を生むチャンスを作り出している。タブレットPCは、高画質や3D視聴を複数人で楽しむメインの大画面TVに大々的に取って代わることはなかろうが、タブレットPCのコンテンツをTVで再生するという利用が更なるビジネスチャンスとなることに加え、高性能なリモートコントロールとして、コネクテッドTVとの連携で利用される頻度が増すと思われる。