英国市場調査会社Futuresource Consultingが最近公表した統計データによると、2013年の世界のプロ向けビデオカメラ市場は安定しており、下落幅が前年比1%未満に収まり、合計で28万9,000台に達した。しかし、年間データの最後では、市場全体の安定性によって、まったく異なる地域的状況が隠されてしまっていることが示されている。
終わりつつある移行期
Futuresource Consultingで放送機器部門のトップを務めるAdam Cox氏は次のように語る。「欧州や北米のような成熟した市場ではHDおよびノンテープへの移行は終了しつつあります。エンドユーザーには、特に昨今の財政状況において、もはや外出して既存のビデオカメラを買い換えなければならないような理由がなく、販売高も次第に減少してきました。プロ向けビデオカメラの価格が下落し続けていることは、より多くの人々がプロ向けビデオの世界に入って来られることを意味し、プロ向けビデオカメラのベンダーにとっては売り込み市場の増加につながるのですが、これらニューカマーはプロ向けビデオカメラの嗜好が同じではない場合が多く、しかし、だからこそ、従来のビデオカメラはビデオ撮影対応のデジタル一眼レフカメラとの厳しい競争に直面しているのです。」
この状況は、2013年の欧州における販売高の15%の減少および北米における12%の減少につながっている。これらの市場は、4Kへの需要が本当に軌道に乗り始めるまでの数年の間、今と似たような状況が続くと見られている。手頃な価格の4K製品が現在市場に参入し始めているが、関心のレベルは低いままであり、技術によって本当にこれらの市場が前進し始めるには、注目を集める数多くの放送会社が道を切り開く必要があるだろう。
新興成長市場
アジア太平洋地域、南米、中東、アフリカなどの新興市場では、さまざまな要素の組み合わせによってプロ向けビデオカメラの市場は大幅に成長している。多くの国では、放送と有料テレビ産業が初期段階にあり、これらの拡大に合わせて新しい機器に投資が注ぎ込まれている。同時に、HDとノンテープを使ったワークフローへのアップグレードが本格的に続いており、エンドユーザーの投資をさらに勢い付けている。もう一つの大きな要素は、特に中国やインドといった地域で拡大する裕福なミドルクラスの存在で、イベントのビデオ撮影に人気があるローエンドの2,500ドル弱のビデオカメラや似たような製品型のものの販売高が前年比39%で増加している。
全体を見ると、2013年、南米での販売高は22%の増加、中東/アフリカでの販売高は8%の増加、すでにかなりの規模になっているアジア太平洋地域での販売高は7%の増加となっており、アジア太平洋地域は2013年のプロ向けビデオカメラの販売高の半分以上を占めている。
Cox氏はこう続ける。「新興市場で予想される継続的な成長と成熟市場で新製品が巻き起こす興奮と買い換え市場の回復によって、2014年の見通しは2013年よりも前向きなものとなっています。しかし、数年間は欧州や北米で大幅な成長が起こることは期待できません。」