英国市場調査会社Futuresource Consulting社の新しい産業レポートによると大型分割テレビスクリーン市場は、2013年にその強い成長軌道を維持した。2009年から2013年にかけて約60%の年複利成長率を記録し、売上は449,000台に達した。
今やはっきりと確立された技術であるスーパー・ナロー・ベゼル (SNB)ディスプレーやリア・プロジェクション・キューブ (RPC)は専門的なハイ・エンドのアプリケーションに大きく狙いを変え、市場は比較的安定した時期に入った。しかし、このパラダイムは、ナロー・ピクセル・ピッチ (NPP) LEDの導入に挑まれることになる。NPP LEDはFuturesource社が今後数年のうちに重大なディスラプティブ技術になると予想しているものである。
Futuresource社のレポートは、異なる技術を採用することによる相互作用に特に注目したが、各製品分野は独自の機能を持ち、それらが最終使用モデルや業界環境を決定する傾向にある。
Futuresource Consulting社のChris McIntyre-Brown氏は、「RPC分野はここ5年間で大きく回復してきた。それは、恐らく売上が大きく落ち込み、SNB製品に置き換わると業界が予想していた時のことだ」と言う。「両方の技術が共存可能な環境になってきたというのが現実だ。1つの例として、RPCの中心である電力とプロセス制御のアプリケーションは、SNBの力強い上昇を目にし、一方RPCの売上も着実な成長を維持している。固体エネルギーの導入によってこの分野は明らかに勢いを増した。UHPの制約を打ち破り、短期間で劇的に交換周期を短縮している。近いうちには影響を及ぼすことのなさそうなレーザー・ソリューションを除いて、市場は、LEDへの移行時期の終わりに近づいており、この分野は徐々に下り坂に向かうと予想している。」
2009年から2012年にかけて見られた、100%を上回るような爆発的な成長の後、SNB市場は2013年に減速し、売上の90%超を占めるものが対前年比30%未満の成長となった。研究開発費は、スクリーンのサイズを大きくしたり、より解像度を高くしたりすることよりもむしろベゼル/ムリオン幅を減少させることに集中してきた。それによって、ベゼル間の幅が3.5ミリしかない極めて狭いベゼル製品の導入が促進された。しかし、2014年に84インチの4kパネルのソリューションの主役が市場に参入する時、パネル供給業者が4kパネルの需要を刺激しようとして価格が急激に下落すると思われ、この集中先は変わるかもしれない。そしてそのためエンド・ユーザーは、84インチの4kパネルではなく2×2のSNBソリューションを導入して維持するために追加費用を払うのは受け入れがたいと感じるかもしれず、46インチのSNBソリューションはプレッシャーを受けると予想される。
SNB市場は、大量製品を扱う企業から完全にスペシャリストに特化したところまで除々に3つの異なる層に展開してきている。従来のRPCベンダーがRPC分野での業績を維持しながら、タイリング・ディスプレー技術でのこれまでの長い伝統を基にSNBの販売を伸ばし続けていることに注目するのは興味深かった。
「2013年が年間を通じて販売した最初の年だが、NPP LED (3ミリ未満)は好調な成績を挙げた」とMcIntyre-Brown氏は言う。「この成果を全体にあてはめてみると、非常におおまかな測定ではあるが、NPP LEDは、2013年に販売された全ての大型分割テレビスクリーンの平米ベースで約4%を占めた。この技術は、RPC/SNB分野と直接競うために、本来屋外用の技術を室内環境に持ち込んだものである。初期段階であるにもかかわらず、市場の主要な競争指標は、この発生期の技術が将来重要な技術になることを示している。」
業界の視点からすると、技術間の争いは、2013年に大型分割テレビスクリーン市場のシェアの19%を占めるコントロール・ルーム・アプリケーションに焦点が置かれている。例えば、監視や追跡管理などのビデオ・フィードを利用する業界下位層は、SNB製品の採用を比較的早くから考えていた。しかし、インダストリー・コントロール・システム (ICS)を使っている業界は、RPCを使い続ける傾向にあった。
コントロール・ルームから離れ、一般のディスプレーや小売は、2013年にそれぞれ40%超と15%のシェアで力強い牽引役となった。ネットワーク・オーナーにとって魅力的な大型ディスプレーにおけるチャンスによって、デジタル標識はこの勢いを明らかに促進するものとなった。地理的に見れば、新興市場は、圧倒的に優勢な中国で両方の製品分野にわたってまだかなりの見込み客を提供している。先進国市場でのRPCの需要は軟調で、先に行くにつれ減少すると思われる。「何でもスマート」な方へ向かう傾向はよい影響をもたらすかもしれないが、RPCの成長に大きな影響を与えそうにはない。SNBの状況は、多くはさらに発展したデジタル標識分野のおかげで先進国市場においてなお同じように業績をあげており、RPCとは全く異なる。