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CEATEC からのお知らせ

CEATEC AWARD 2023 総務大臣賞・経済産業大臣賞・デジタル大臣賞・部門賞 決定

2023年10月16日

CEATEC AWARD

一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA:代表理事/会長 小島 啓二 株式会社日立製作所 代表執行役 執行役社長 兼 CEO)は、「CEATEC 2023(シーテック 2023)」にて展示される技術・製品・サービス等を対象とする「CEATEC AWARD 2023」の総務大臣賞、経済産業大臣賞、デジタル大臣賞ならびに部門賞が決定したと発表しました。CEATEC AWARD 2023はSociety 5.0の実現を促し、新たな価値と市場の創造・発展に貢献、関係する産業の活性化に寄与することを目的として実施するもので、CEATEC AWARD 2023 審査委員会による厳正な審査により選出されました。詳細は https://www.ceatec.com/ja/award/ をご参照ください。

総務大臣賞

空間セキュリティマネジメントソリューション (株式会社東芝)

経済産業大臣賞

金属インクジェット印刷技術を用いた環境負荷低減PCB (エレファンテック株式会社)

デジタル大臣賞

世界最小最軽量級のカメラが「働く」を変える。
リアルタイム映像DXソリューション " Xacti LIVE(ザクティライブ)" (株式会社ザクティ)

<CEATEC AWARD 2023 受賞一覧>

総務大臣賞
空間セキュリティマネジメントソリューション
株式会社東芝
総務大臣賞 株式会社東芝 空間セキュリティマネジメントソリューション
【概要】

公共空間でテロの脅威が増えており、利便性を損なわずに目に見えない危険物をスクリーニングする技術の登場が期待されています。東芝グループでは、長年培ってきた防衛レーダ技術と半導体技術を基盤とする車載ミリ波レーダICの独自統合技術と独自走査技術により、1秒以下で衣服に隠された危険物の可視化と検知を行うウォークスルー検査装置を開発しました。さまざまな公共空間に展開でき、安心・安全で持続可能な地域社会を実現します。

【選評】

日本においても銃器や爆発物を使用したテロなどの犯罪による危険性が高まり、安全神話が崩れようとしている。現状、要人が集まる国際会議や空港などのセキュリティ要件が高い場所では、監視カメラや金属探知機などを用いて危険物の持ち込みを検知しているが、時間がかかる、利便性が悪い、探知機で検知できない素材や銃器等を見落とすなどの恐れがあった。東芝の空間セキュリティマネジメントソリューションは、車載用ミリ波レーダモジュールを活用し、ウォークスルー型のセキュリティを実現する。全体の形状が把握できているものだけでなく、未知の危険物の検知も可能。モジュール化されていることで、ハードウェアは共有しソフトウェアで機能を持たせ、多目的に活用できるとしている。カスタマイズによる設置場所への対応や、ミリ波の特性を生かした非破壊検査など多分野にも応用可能だとする。電波の有効活用という面も含め、今後の実用性や市場性が大きく評価された。

経済産業大臣賞
金属インクジェット印刷技術を用いた環境負荷低減PCB
エレファンテック株式会社
経済産業大臣賞 エレファンテック株式会社 金属インクジェット印刷技術を用いた環境負荷低減PCB
【概要】

エレファンテック株式会社は、「新しいものづくりの力で持続可能な世界を作る」というミッションを掲げ、環境に優しい金属インクジェット印刷による電子回路基板の量産化に人類で初めて成功した日本の製造業スタートアップ企業です。既存製法のサブトラクティブ法と比較して弊社の独自製法のピュアアディティブ法は銅の使用70%削減、CO2排出量75%削減、水使用量95%削減できるサステナブルな製法です。

【選評】

今や日常生活に欠かせないスマートフォンやパソコンなどの電子機器。その製造に欠かせないのが、電子部品がはんだ付けされて、電子回路として動作するようになった状態のプリント回路板(PCB=Printed Circuit Board)だ。代表的な製造方法は「サブトラクティブ法」と呼ばれる基盤全面に金属を貼った上で、不要な部分を溶かして除去するという、大量の廃液や排水により環境負荷が高いことが課題だった。エレファンテックは金属インクジェット印刷技術を活用し、必要な部分にだけ金属を印刷する「ピュアアディティブ法」による電子回路基板の量産化に初めて成功、カーボンニュートラル、脱炭素社会への貢献に大いに期待がもてる。CO2の排出量や水の消費量を大幅に削減するだけでなく、銅などの金属使用量も大幅に削減できるので、省資源化、省コストにもつながり、競合他社に先駆けて量産化を実現していることなど、将来のビジネス継続性、発展性も併せて大きく評価された。

デジタル大臣賞
世界最小最軽量級のカメラが「働く」を変える。リアルタイム映像DXソリューション"Xacti LIVE(ザクティライブ)"
株式会社ザクティ
デジタル大臣賞 株式会社ザクティ 世界最小最軽量級のカメラが「働く」を変える。リアルタイム映像DXソリューション Xacti LIVE(ザクティライブ)
【概要】

ウェアラブル ライブ映像デバイス&配信サービス "Xacti LIVE(ザクティライブ)" は、5G/6G時代におけるビジネスのライブをリアルな目線映像で、いつでもどこからでも共有できるソリューションです。30gを切る軽く小さいウェアラブル映像デバイスによる臨場感あふれる現場の映像と音声が、複数拠点からの遠隔支援をリアルかつ円滑に実現します。

【選評】

株式会社ザクティは、少子高齢化に伴う社会的課題により多くのシーンで遠隔臨場、遠隔支援が求められる中、ウェアラブルカメラの開発・製造を手掛けている。導入先も建設現場などから製造業等にも活用が広がっている。その中で課題になったのがヘルメットを着用しないシーンでも装着できるカメラへのニーズだ。「Xacti LIVE(ザクティライブ)」は従来モデルよりも容積で1/7、重量で1/3に小型軽量化、30gを切る軽さなのでメガネや帽子、シャツなどに装着して使用できる。通信状況に応じて最適な画質に自動調整し、カクつきがない配信を実現。さらに映像を確認している本部側でズーム操作などが行える。通常のデジタルズームだと粒度が荒くなるが、独自の画像エンジンで精細度を保って拡大ができるとしている。小型軽量ということで、出張メンテナンスや物流、警備などのほか、小売りの現場からエンターテインメント活用、スマートグラスとの併用などと可能性も広がり、遠隔支援による少子高齢化に伴う社会的課題の解決に加えて、多方面でのDXの推進に期待できるという点が高く評価された。

部門賞
アドバンストテクノロジー部門
■グランプリ
高品質なGaN系微小光源を作製するためのmicro-LED/micro-レーザー用独自基板と新工法
京セラ株式会社
【概要】

微小光源(micro-LED)専用の独自基板(EGOS)と、その基板を用いることで高品質なデバイスを低コストで作製することができる従来にない新工法を開発しました。本基板の超低欠陥領域から作製されたmicro-LEDを340個配線基板に一括実装することでアレイを作製。作製が極端に難しいレーザーも本基板で作製することで、世界で初めてSi基板上で100µm長短共振器レーザー※を室温連続発振させました。
※Si基板上に形成した100µm以下のGaN系端面発光レーザーにおいて。2022/9京セラ調べ

【選評】

次世代光源として期待されているmicro-LEDは、現時点において製造難易度やコスト高などの課題もあり普及には時間がかかるとされている。京セラは、新しい専用独自基盤を開発することで低欠陥、低コストでの製造を可能とした。100µm共振波長レーザー素子にも応用可能で、車載用の透明ディスプレイやAR/VR用スマートグラスの微小光源などにも活用できる。自動車のヘッドライトに使用すると、対向車のドライバーが眩しいと感じる光源だけを消灯するなどきめ細かな制御もできるなど、幅広い応用例が示された。ディスプレイ用途においては有機ELがまだ主流だが、品質や寿命などの面でmicro-LEDに期待が集まっているほか、他分野においてはmicro-LEDの可能性が極めて高いと考えられる。かつては日本が独占していたLEDパネル製造は価格競争にさらされ苦戦しているが、高付加価値な素子製造は新たな日本の産業基盤としても期待される。

■準グランプリ
省電力AIプロセッサーMN-Core™シリーズ
株式会社Preferred Networks
【概要】

AIの学習を高速化し、消費電力あたりの演算性能で世界最高水準を実現したAIプロセッサーMN-Core™シリーズを神戸大学と共同開発。PFNは、MN-Coreを使った最初の大規模クラスターMN-3を2020年6月に稼働し、材料探索やロボティクスなどにおいて深層学習を応用した革新的な技術の開発および高速化に取り組んでいます。さらに小型で高性能な後継機MN-Core 2を開発し、現在量産化も進めています。

【選評】

人工知能(AI)の精度、能力は近年飛躍的に伸びており、世界規模で成長産業となっている。Preferred Networksは日本においてトップレベルのAI(深層学習)開発を手掛け、国内最大規模のユニコーンとして知られる。AIの精度が高まりニーズが増えることで、ますます計算資源が必要とされるようになっている。同社が開発するMN-Core プロセッサーは、省電力で高い計算能力を持つ。今回さらなる小型化、電力性能(消費電力あたりの演算性能)を持つMN-Core 2を開発。従来モデルと比較して、ラックあたりの演算性能は3倍、電力あたりの演算性能は33%向上しているという。省エネ化や高性能化により、単純な処理速度の向上(演算処理の短縮)だけでなく、試行回数を増やすなど、より複雑な演算が現実的なコストで行えるようになると期待され評価された。

■準グランプリ
「おいしさを見える化」が創る未来の食卓
~野菜・果物・茶葉などのスマホ等での撮影画像からのAI解析による食味判定と情報化~
マクタアメニティ株式会社
【概要】

スマホ等で撮影した画像から野菜等の「おいしさ」を瞬時に解析し、数値化などで「見える化」します。解析はクラウド上のAIで行われるため、通信環境があれば世界中で利用可能なDX技術。専門機器を使用せず可視光で解析をするのは世界初。スマホ等へ専用アプリをダウンロードし誰でも手軽に使えます。対象農産物は傷めず生産・流通・消費段階で食味情報を瞬時・タイムリーに入手可能、UIにも配慮し結果は分かりやすい画面表示に。

【選評】

従来の味覚センサは、高額かつ破壊検査となるのでサンプル調査しかできないという課題があった。マクタアメニティの技術は、可視光によるRGBの分布をAIで解析、農産物の品質(おいしさ)を判定するというもの。画像解析AIをクラウド上におき、スマートフォンアプリなどでアクセスすることで誰でも利用できるのが特徴だ。従来技術と比較して、1/100程度のコストで実現可能な場合もあるという。いつ誰がどこで撮影したか、というデータと併せて、現在は、生鮮農産物17品目に加えて一次加工した茶葉の分析なども行える開発が進められている。ノウハウの独自性により他社の権利侵害もなく自社の知財を権利化しており、知財評価も高いとしている。活用範囲としては生産から消費の過程で幅広くでき、生産、流通に変革をもたらすと期待される。海外での活用にも目処が立ち、フェアトレードなどSDGsで掲げる問題解決の一助を担える点も評価された。産官学連携、オープンイノベーションによる幅広い利活用が期待される。

デバイス部門
■グランプリ
指先が持つ繊細な感覚を可視化するマルチフィジクス・ナノ触覚センシング
国立大学法人香川大学 JST-CREST
【概要】

本技術は人間が感じる手触りを数値化・可視化する全く新しい領域の触覚センシングシステムです。鍵となるのは独自の高分解触覚センサと深層学習(AI)の協働です。高品質の触覚データを取得し、対象が持つ触覚的特徴をAIに記憶させることによって、人間には判別が難しい対象を指先以上に高い感度と正確性で識別できます。本技術は、摺動部の異常摩耗や悪性腫瘍を超初期に発見するなど、様々な分野での応用が期待できます。

【選評】

指先が持つ繊細な感覚は「見える化」が難しい分野だった。香川大学では、人間の指先が持つ精緻な指紋構造と触覚受容器の機能を模倣する独自の原理によるシリコンMEM触覚センサで、「粗滑感」「摩擦感」「硬軟感」に加え、「乾湿感」ならびに「冷温感」の5大触覚要素を実現。感覚の「見える化」に成功した。さらに、触覚情報のディープラーニングを組み合わせることで人間を超える触覚能力の実現も可能だとする。例えば、ティッシュペーパー7銘柄を触覚だけで判別するテストでは、人間ではおよそ30%の正解率だったのに対して、ナノ触覚デバイスとAIの組み合わせでは95%以上の正解率が得られ、サンプル品質が高ければ少ないサンプル数でも高精度な学習も可能だとしている。冷温感による熱伝導変化の空間的可視化に成功したことで、触り心地の良さの決め手となる「しっとり感」と「温もり感」の再現が容易になった。例えば天然のバックスキンの代替製品を開発する際の開発期間を短くするなど、再現性を高めることができるとしている。その他、スキンケアの効果や髪の毛の質感、ガンの進行度合いの検査、着心地、鮮度・熟度など様々な分野で客観的な触覚データの活用が見込まれ、今後の多様な分野での応用性が高く評価された。

■準グランプリ
ガラス建材一体型 ペロブスカイト太陽電池
パナソニックグループ
【概要】

パナソニックのペロブスカイト太陽電池は「ガラス建材一体型」で透過度のコントロールも可能であることから、意匠性(外観・デザイン)が原因でシリコン太陽電池が採用されにくかった場所(窓・壁 等)でも発電が可能となるため大幅採用が期待できます。また、パナソニックのペロブスカイト太陽電池は実用サイズ(>800cm2)で世界最高レベルの発電効率(17.9%)を有します。

【選評】

「ペロブスカイト太陽電池」は次世代太陽電池の本命とされ、パナソニックだけでなく各社から実用化されつつある。一方では創エネニーズの高まりの中で、設置場所や設置面積での課題も多い。壁面や窓などへの設置も検討されているが、デザイン面や透過性など建築物との調和も必要となる。同社の技術では、有機ELディスプレイ生産の技術を応用し、ガラスの上に、透明電極、インクジェット塗布で太陽電池を製造、サイズ、自由度の高い加工が可能とする。見える場所に設置されるケースが多いことから、透明度をコントロールし、調和するデザインも併せて実現する。17.9%と高い発電効率を持ち、ガラスが使える場所であればどこにでも設置可能なので、従来の太陽電池よりも大きな市場規模も見込まれる。地球環境にもやさしい「発電するガラス」のポテンシャルが評価された。

Co-creations Category
■グランプリ
建設段階のデジタルツイン基盤CONNECTIA活用による現場DX実現
株式会社大林組
【概要】

CONNECTIAは、建設現場の元請け、協力会社の職長ら向けに、施工計画業務の効率化や視覚的な施工シミュレーション、その結果の共有を行える、いわば土木・建築業界における3次元モデルをベースとしたデザインコラボレーションツールです。BIM/CIMソフトや3次元モデル専用ソフトとは異なり、普段3Dツールを頻繁に使わない人でもゲーム感覚で施工計画策定や情報共有を行える直感的なツールです。

【選評】

建設業界では、就労人口の減少、高齢化の進行が他業種より加速しており、生産性向上や働き方改革が急務となっている。大林組が開発する建設現場のデジタルツインアプリ「CONNECTIA」は、建設現場を地形データや都市モデル、設計データ、点群データなどを用いてコンピュータ上で完全に再現し、実際に現場に投入される建設機械や設備を配置、実際の運用をシミュレーションすることが可能だ。例えば、既存の建物や架空線などの現場環境を事前に把握しておくことで、機材の配置や稼働範囲をどの様に設定するかなどを確認、最適な施工を実現するものだ。現在は開発段階ではあるが、現時点で15現場での試行実験的に導入され、施工の効率化などで効果を上げているという。エンジンにUNITYを採用し、描写力、操作性に優れているのも特徴。また都市OS「FIWARE」を実装済みで、建設段階にとどまらず、維持管理や、他社含めた他のシステムとの連携なども視野に入れている。従来の施工においても段取り八分、事前の準備、想定がスムーズで安全な仕事につながるとされてきたが、それをシステムで再現して何度もシミュレーションできることで、より精度の高い計画や安全対策にもつながる。元々熟練者頼みだった建設現場において、人材不足による技術伝承、情報共有が難しくなっているなか、日常使いされるようなシステムを目指す開発意図とこれからの可能性が高く評価された。

■準グランプリ
いっしょに考えます、トイレのこと「A-SPEC」
株式会社LIXIL
【概要】

A-SPECは、パブリックトイレ空間を自動設計するクラウドサービスです。使い勝手の良いトイレ空間を、いつでも、どこでも、だれでも、かんたんに設計することができます。空間計画にまつわる難解なルールや配慮事項を考慮した独自のAIが、条件に合わせて空間レイアウトを自動設計。また、自動設計されたプランたちを見比べ、使い勝手を確かめられるしくみを提供し、建築設計者・関係者といっしょにより良い空間を考えます。

【選評】

トイレ空間のレイアウト、デザインなどの設計業務においてもDXのニーズが高まっている。多様化、複雑化するニーズに対して手作業の工程が多い業務内容のまま人手不足が加速化することで、それぞれの業務が属人化しノウハウがブラックボックス化してしまう弊害が生じているからだ。これらは日本における労働問題全般に言えることで、デジタル技術を活かした課題解決が求められている。LIXILが提供する「A-SPEC」は、パブリックトイレを自動設計する無料のクラウドサービス。間口と奥行きを入力することで、レイアウトのプランが生成され、2Dの図面、3Dモデルの生成まで自動で行われる。独自のAIロジックによりスコアリングシステム、人流予測による混雑予想なども行え、より良い設計、空間を選ぶというような業務変革となることが見込まれる。今後、競合他社や他業種などの連携も進め、Society 5.0に向けたプラットフォームとして確立したいとする。サービスが広く用いられることを重視し、アカウント登録すれば誰でも無料で使用できるとしている。設計のシミュレーションだけでなく発注なども含めた業務全体に広げることで、業界の活性化、2024年問題対応などの一助となるといった可能性も評価された。

スタートアップ部門
■グランプリ
エアモビリティー社会を支える小型高性能ポータブルドップラー・ライダー
メトロウェザー株式会社
【概要】

弊社は、世界の風を制するというミッションのもと、いかなる場所・状況でも風を観測・分析し、最適なソリューションを提供し続けることで、世界No. 1の風況インフラになることを目指しています。大気中の微粒子の微細な動きから十数km先の風向や風速を測定する高性能ドップラー・ライダーを開発し、エアモビリティーが風の脅威を感じず、安全かつ安定的に運航できる世の中の実現を目指しています。

【選評】

大気中の微粒子の動きを元に、風向や風速を測定する高性能ドップラー・ライダーを開発するメトロウェザーは、京都大学発スタートアップ。ドローンの活用や空飛ぶクルマなどのエアモビリティーの社会実装には、地表近くの気象情報「風予報」が不可欠とされる。風は目に見えないが、赤外線を用いたドップラー・ライダーを使用することで、風向、風速をリアルタイムに算出可能としている。最大15km先までの風の動きを計測可能で高さは2kmまでとなり、ノイズの中から信号を取り出す同社のコア技術がそれを可能としている。現在、大阪エリアでドップラー・ライダーネットワークの構築を行なっており、大阪万博会場上空と周辺の風況をリアルタイム計測、可視化している。ドローンやエアモビリティーなど未来のソリューションだけでなく、航空機の離着陸時における「魔の11分」の領域をカバーできるなど、現在稼働している空の安全にも貢献する、まさに「風の見える化」が評価された。

■準グランプリ
TL-SENSING™ ~人肌や吐息さえも高速検知。「熱」を可視化して異常現象を0.01秒キャッチ~
TopoLogic株式会社
【概要】

TL-SENSING™は、新素材であるトポロジカル物質の熱流束センサです。微細な熱を0.01秒で検知し、既存センサの数百倍高い熱伝導率、1/100の薄膜構造により、高い形状自由度を誇ります。バッテリーやパワー半導体部品の異常検出・故障予知、反応触媒・光吸収膜を組み合わせた化学センサ・ガスセンサ、工場・生産現場の熱マネジメント、人体モニタリング等、幅広いデバイスやサービスへの応用が可能となります。

【選評】

TopoLogicの「トポロジカル物質」の特性を用いた熱流束センサは、既存製品と比べて数千分の1のコストと、数十~数百倍の時間応答性を実現する画期的なセンサ。0.01秒未満で熱の動きを高速検知し、異常検出や故障予知、熱快適性コントロールデバイス、化学センサ、ガスセンサ、熱のマネジメント、制御、監視、人体モニタリングなど、多様な応用が見込まれるとしている。「トポロジカル物質」は第4の物質カテゴリーとされ、全く新しいバンド構造を持ち、電子の流れ、制御が可能である。従来のものと比較して非常に薄型でわずかな温度差でも検出可能、シンプルな構造で信頼性、製造性が優れているという特長がある。スマートフォンやノートPCの排熱経路設計や冷却構造設計などへの活用、振動よりも前段階で発熱の傾向が見られるなどから故障予知などわずかな熱の変化を検知できることでのポテンシャルなど、実証段階ではあるものの幅広い応用や将来への活用への高い期待も評価された。

<CEATEC AWARD 2023について>

CEATEC AWARD 2023は、CEATEC 2023に展示される技術・製品・サービス等の中から、出展者が事前に応募した出展品・案件について、「CEATEC AWARD 2023 審査委員会」が学術的・技術的観点、市場性や将来性等の視点から、イノベーション性が高く優れていると評価できるものを審査・選考し、表彰するものです。

<各賞選考基準>
  1. 大臣賞(建制順)
    • 総務大臣賞

      CEATEC 2023に出展し、CEATEC AWARD 2023に応募のあった中から、デジタル時代における情報通信・ネットワーク・データ・AI技術・IoT技術の高度利活用や、それらによるサービスの提供、AIネットワーク化や地域社会におけるデジタル利活用など、CPS/IoT社会の進展とSociety 5.0の実現に、最も寄与すると評価される応募案件を選考します。特に、「デジタル田園都市国家構想」の実現に寄与する、地域の課題を解決し活性化させ、豊かな暮らしと社会、経済活動の効率化や高付加価値化の促進に最も貢献すると評価される案件、技術、製品、サービス、またはそれを支えるソフトウェア、アプリケーション、部品・デバイス等に対し、「CEATEC AWARD 2023 総務大臣賞」を授与します。

    • 経済産業大臣賞

      CEATEC 2023に出展し、 CEATEC AWARD 2023に応募のあった中から、AIやロボット技術、ビッグデータ等を用いるなどにより、新たな価値を生み、暮らしや社会、ビジネス、産業における課題解決と変革を促すものづくり、IoTを利活用したサービス、また、産業のDXを推進する横断的な技術の開発など、CPS/IoT社会の進展とSociety 5.0の実現に最も寄与すると評価される応募案件を選考します。特に、「デジタル田園都市国家構想」の実現に向け、DX促進やデジタル産業の強化に繋がる、創造性と市場性に優れた、未来の暮らし・社会・ビジネス・産業高度化に最も貢献すると評価される案件、技術、製品、サービス、またはそれを支えるソフトウェア、アプリケーション、部品・デバイス等に対し、「CEATEC AWARD 2023 経済産業大臣賞」を授与します。

    • デジタル大臣賞

      CEATEC 2023に出展し、CEATEC AWARD 2023に応募のあった中から、地球規模でのデジタル社会の実現に向け、デジタルの可能性を引き出し、デジタルを最大限に活用しながら多様な課題解決をはかり、人びとがライフステージに合った最適なサービスを選択できる、豊かな暮らしと強靭な社会づくりに最も寄与すると評価される応募案件を選考します。特に、「デジタル田園都市国家構想」の実現を推進する、地域の暮らしや社会、教育や研究開発、産業や経済をデジタルにより変革する、先進的なデジタル基盤整備や先端的サービス、あるいは地域産業の高度化を促進するデジタル技術の活用等に最も貢献すると評価される案件、技術、製品、サービス、またはそれを支えるソフトウェア、アプリケーション、部品・デバイス等に対して、「CEATEC AWARD 2023 デジタル大臣賞」を授与します。

  2. 部門賞
    • アドバンスドテクノロジー部門

      産業・ビジネス・社会・暮らしを持続的に成長させる、Society 5.0の実現に寄与する新たな技術・製品・サービス・ソフトウェア・アプリケーションなどのプロダクトおよび、ソリューションやビジネスモデル等を広く対象とし、先進性や具体的実現性、社会への貢献性等に優れると評価されるものを表彰します。

    • デバイス部門

      産業・ビジネス・社会・暮らしを持続的に維持・発展させ、Society 5.0の実現を支える要素技術やそれに用いられるデバイス及びそのテクノロジー、またはその開発コンセプト等を対象とし、先進性・技術性、製品・サービス等への活用性に優れると評価されるものを表彰します。

    • Co-creations Category

      独自テーマを設定し、多様な産業・業種の企業がパートナーを組んでSociety 5.0の実現に向け『共創』された技術・製品・サービス・ソフトウェア・アプリケーション、それを含むソリューションやビジネスモデル等の案件を広く対象とし、先進性や未来社会への貢献性等に優れると評価されるものを表彰します。

    • スタートアップ部門

      先進的な技術・製品・サービス・ソフトウェア・アプリケーション・ビジネスモデル等を開発し、それを市場に投入するスタートアップ企業や社会実装を目指す大学・研究機関からの応募案件を対象とし、具体的実現性や社会への貢献性、技術的高さ・市場性等の観点から優れると評価されるものを表彰します。

    • グローバル部門 ※会場審査のためCEATEC 2023会期中に発表予定

      国外からの出展者による技術・製品・サービス・ソフトウェア・アプリケーション・ビジネスモデル等において、審査委員会が特に優れていると認め、具体的実現性や社会への貢献性、技術的高さ・世界での市場性等の観点から評価されるものを表彰します。

<CEATEC AWARD 2023 審査委員会>
学会(順不同)
  • 一般社団法人情報処理学会
  • 一般社団法人電子情報通信学会
  • 一般社団法人映像情報メディア学会
  • 一般社団法人電気学会
総研・メディア関連(順不同)
  • 株式会社 MM総研
  • 日刊工業新聞社
  • 株式会社日経BP
  • アイティメディア株式会社
  • 株式会社テクノコア
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